北川健次

Kenji Kitagawa ― 鏡面のロマネスク」

 

 虚像の中に落ちるためには、ただ一枚の鏡の表面をゆがめるだけでよい。――ウンベルト・エーコ 

 

 北川健次(きたがわ・けんじ)は、1952年福井県福井市生まれの版画家、オブジェ作家です。その版画作品は、すでに大学在学中に駒井哲郎、池田満寿夫、棟方志功など一流の版画家に高く評価され、続いて現代日本美術展ブリヂストン美術館賞、東京セントラル美術館版画大賞などを受賞し、更に文化庁派遣芸術家在外研修員に選抜されて渡欧するなど、本県出身の美術家として最も高い評価を得ている作家の一人であるだけでなく、まさに現代日本版画界を代表する作家と言えます。

 80年代には活動範囲をオブジェの分野に広げ、近年は、新たに写真表現にも取り組み始めました。しかしいずれの技法でも、そこに表現されているのは彼の詩的真実の世界で、いわば視覚化された詩としての世界は、虚構と引用、そして比類なきメチエへの拘泥を通して作品として物質化して行きます。

「作っても作っても新たに入れ替わるようにして立ち現われてくる」と彼自身が言うイマジネーションの奔流とその表現は、もうひとつの活動分野である文筆活動にも表れているように深い芸術思想に支えられています。

 2010年にパリで開催されたランボー展に、ピカソやコクトー等の作品と並んで招待されるなど飛躍の目覚しい時期をとらえ、公立美術館では初となる個展を約200点の作品で開催し、北川健次の魅力に迫ると同時に、その作品世界を全国に発信します。

 

1 展覧会名     北川健次展  Kenji Kitagawa ― 鏡面のロマネスク」

2 会期         平成231127日(日)〜1225日(日)

3 休館日       125日(月)、19日(月)

4 会場         福井県立美術館  福井県福井市文京3丁目16-1

5 開館時間     午前9時〜午後5(入場は午後430分まで)

6 観覧料       一般800円 大高生500円 中小生300円 

                30名以上の団体は2割引

                ※学生割引は学生証の提示が必要です

                ※身体障害者手帳等所持者とその介護者1名は半額(ただし障害者手帳等に介護印のある方のみ)

7 主催         福井県立美術館

8 共催         福井新聞社

 

9 関連イベント

[記念対談] 北川健次の創作の秘密に迫る

1211日(日)午後2時〜 当館講堂にて

出演:北川健次(本展出品作家)×芹川貞夫(当館館長)

*聴講無料

 

[出品作家によるギャラリートーク]

1127日(日)午後2時〜、1210日(土)午後2時〜 当館展示室にて

講師:北川健次

*観覧券が必要です

 

[同時開催] 所蔵品によるテーマ展「和紙と日本画 ― 近代日本画の巨匠たち ―」

*本展観覧券にてご覧いただけます

 

 

【お問合わせ】

福井県立美術館

910-0017福井県福井市文京3丁目16-1

TEL0776-25-0452 FAX0776-25-0459

E-mail美術館:finearts@pref.fukui.lg.jp

HPhttp://info.pref.fukui.jp/bunka/bijutukan/bunka1.html

 

 

 

顔写真Kenji Kitagawa 北川健次氏

◎北川健次オフィシャルサイト:http://kenjikitagawa.jp/

 

略歴:北川 健次  Kenji  Kitagawa

1952年福井県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科修了。駒井哲郎に銅版画を学び、棟方志功・池田満寿夫の推挽を得て作家活動を開始。日本の銅版画の分野に写真製版の技法を初めて導入する。'75年、現代日本美術展ブリヂストン美術館賞受賞。'76年、東京国際版画ビエンナーレ展招待出品・国際大賞候補(東京国立近代美術館)、'81年、リュブリアナ国際版画ビエンナーレ展招待出品。井上有一(書)四谷シモン(人形)坂茂(建築)等と共に『未来のアダム展』に招待出品(企画/高橋睦郎)。'90年、文化庁派遣芸術家在外研修員として渡欧。'94年、来日したクリストによりオブジェ作品の賞讃を得るなど、銅版画とオブジェの分野における第一人者的存在。版画、油彩画、オブジェの他に写真、詩、評論も手がける。鋭い詩的感性と卓越した意匠性を駆使した作品は美術の分野において独自の位置を占めている。

2008年にランボーを主題とした作品が、ピカソ、クレー、ミロ、ジャコメッティ、ジム・ダイン、メイプルソープらと共に選出され、フランスのアルチュール・ランボーミュージアムにて展覧会が開催される。同年、CLAUDE JEANCOLAS著による『LE REGARD BLEU DARTHUR RIMBAUD』(FVW EDITION社)に、上記の作家たちと共に掲載される。2010年にパリ市立歴史図書館にて開催された『RIMBAUD MANIA』展に招待出品。2011年に福井県立美術館において個展開催。

 

【パブリック・コレクション】

東京都現代美術館・ブリヂストン美術館・神奈川県立近代美術館・東京都美術館・埼玉県立近代美術館・栃木県立美術館・うらわ美術館・町田市立国際版画美術館・福井県立美術館・東広島市立美術館・和歌山県立近代美術館・徳島県立近代美術館・宮崎県立美術館・熊本市現代美術館・大分県立芸術会館・渋谷区立松涛美術館・広島市現代美術館・須坂市版画美術館・高松市美術館・ 国立国際美術館・長野県信濃美術館・池田満寿夫美術館 ・アルチュール ランボー ミュージアム(フランス)他

 

【講演及び講義】

横浜美術館・福井県立美術館・高崎市美術館・多摩美術大学・玉川大学・女子美術大学・京都精華大学・立命館大学・武蔵野美術大学・國學院大學・

名古屋芸術大学

 

【刊行物】

『「モナ・リザ」ミステリー』(新潮社):レオナルド・ダ・ヴィンチ、フェルメール、ダリ、ピカソ、デュシャンについての論考三部作

『死のある風景』(新潮社):久世光彦との共著

『イマージュの交感―蕪村VS西洋美術』:美術雑誌に連載。単行本として刊行予定。