歳時記トピックス

今から見られる伝統行事を見に行こう!【3月編】

「ふくい四季のしあわせ綴り」の中から、今回はこの3月に見られる主な「伝統行事」をいくつかご紹介します。ぜひ足を運んで体感してみてはいかがですか?

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(1)小浜と奈良とのつながりを表す「お水送り」/3月2日/福井県小浜市神宮寺

奈良・東大寺のお水取り行事の「お香水(こうずい)」を、小浜市の鵜の瀬から送るのが、若狭に春を告げる伝統行事「お水送り」です。古くから奈良と若狭が深い関係にあったことを物語ります。
午前11時、下根来八幡宮(しもねごりはちまんぐう)で行われる山八神事からスタートします。修二会(しゅにえ)、大護摩法要(おおごまほうよう)のあと、7メートルにも及ぶ巨大松明をかかげた松明行列で遠敷川(おにゅうがわ)の鵜の瀬へ向かい、幻想的な空気に包まれながらお香水を流します。お香水は鵜の瀬から10日間かけ、東大寺二月堂の「若狭井」に届くとされます。
 
【日時】 3月2日
【場所】 若狭神宮寺(小浜市神宮寺30-4)ほか。
【問い合わせ】 若狭おばま観光協会 電話0770-53-1111
【詳細URL】 http://wakasa-obama.jp/

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(2)火の用心祈願し狐を祭る「初午(はつうま)だんごまき」/3月上旬/大野市木本(このもと)

「初午」は旧暦2月(今の3月)最初の午の日。各地の稲荷神社で、各地で豊作、商売繁盛、開運、家内安全を祈願します。大野市の岩崎稲荷神社では、彩り豊かな団子をまく、初午だんごまきが行われます。だんごは赤や黄、緑などに色づけされ、きつねの形をしたものや「火の用心」などと書かれたものも。住民総出で300キロ近い米を使って手作りします。約200年前、2匹の男ギツネが女ギツネをめぐって争い、負けたほうが火を放って村人を困らせたという言い伝えがもととなっています。

【日時】 3月上旬
【場所】 木本岩崎稲荷神社(大野市木本)

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(3)村を荒すヒヒ退治の故事にちなむ「初午祭」/3月上旬/敦賀市山

敦賀市の黒河川の上流にある稲荷神社でも「初午祭」が行われます。その昔、村を荒らしていたヒヒに若い娘を人身御供(ひとみごくう)として捧げていたが、旅の武芸者が退治し村を救ったという伝承が由来となっています。それにちなみ、ゴクカキと呼ばれる身を清めた男衆8人が人身御供役の子どもを囲んで供え物を神社に運び、神事の後、もち米と豆を蒸した「赤蒸し」を住民たちに配ります。

【日時】 3月上旬(旧暦2月の最初の午の日に近い日曜)
【場所】 稲荷神社(敦賀市山24-31)
【問い合わせ】 敦賀市文化振興課 電話0770-22-8152
【紹介URL】 http://www.city.tsuruga.lg.jp/

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(4)舞わない獅子頭に健康を願う「お獅子祭」/3月19日~21日/坂井市三国町安島(あんとう)

この祭りでは、獅子頭を中心にした行列が集落を巡ります。行列は各集落の人々によって、バトンのように獅子頭や天狗面などを繋いでいくリレーのような形で巡行します。「オシシサマ」や「オシッチサマ」などと呼ばれる獅子頭は、ご神体、つまりは「神様」とされ、かぶったりして舞に使用されることはありません。獅子頭の載った神輿(みこし)の下をくぐるとその一年は健康だといわれており、かつては非常に多くの人がくぐろうとして、行列が先へと進めなかったこともあったそうです。また、参加した女性は「出産が軽くなる」ともいわれ、かつては集落によって女性が中心となって担ぐものとされたといわれています。
※写真所蔵:福井県立歴史博物館

【日時】 3月19日~21日
【場所】 大湊神社(坂井市三国町安島)
【問い合わせ】 大湊神社 電話0776-81-2959

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(5)男衆が女性たちを“お粥ぜめ”する「観音様のおすすめ」/3月第3日曜前後/勝山市遅羽町北山

勝山市遅羽町北山のわずか11世帯の集落で400年以上前から伝わる奇習です。地区に祭られている十一面観音に五穀豊穣を祈る行事で、男衆が大釜で炊いてお粥をこしらえ、「観音さんのおーすすめーん、めーん」と大声ではやしながら、集まった女性や子どもの茶わんに、熱々のお粥をこぼれるまで入れ続けます。日ごろ家事に忙しい女性たちに感謝しねぎらう意味があるといわれています。
おかゆを注ぎ足そうとする男性陣と、「もう食べられない」と困って悲鳴を上げる女性陣の攻防も楽しい行事です。

【日時】 3月第3日曜前後
【場所】 勝山市遅羽町北山 当番宅

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(6)真夜中から営まれる厳粛な祭典「河原(かわはら)神社神事」/3月の初酉の日に近い日曜/若狭町上野木

河原神社に伝わる厳粛な神事。勤行者という若い男子1人が決められ、神事まで1年間は毎朝神社に参拝し、殺生をしないなどの掟を守り、神事の数日前に祢宜と共に小浜の海で禊(みそぎ)をします。当日真夜中の午前0時に祭壇の大御幣に神移しが行われ、夜が明けはじめるころ、神官や祢宜、大御幣を捧持した勤行者、幼い少女の料理持ちらが行列して神社境内へ向かます。「御殿」とばれる浄域で百味の料理が供えられ、祭典が営まれます。

【日時】 3月の初酉の日に近い日曜
【場所】 河原神社(若狭町上野木55-8)

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いかがでしたか? ぜひ足を運んで伝統行事の雰囲気を感じてみてください。
これらの伝統行事の詳細は、福井県のHP「ふくい四季のしあわせ綴り」で見ることができますよ。

※写真は福井新聞社提供(一部除く)