食育の町・小浜で、古くからおいしいと伝えられ、今年、食の世界遺産とよばれる「味の箱舟(※)」にも認定されたのが谷田部ネギです。 谷田部地区は小浜市郊外、静かな山間の町で、約25名が谷田部ネギを栽培。ネギの特徴は根の部分が釣針状にキュッと曲がっていて、独特の甘みを感じられることです。
「発祥は不明ですが、明治初期には栽培、小浜市内で販売されていたようです。お客さんの多くは、釣針状に曲がったネギを目印に、おいしいと評判の谷田部ネギを購入していたのだとか」
と生産組合の池田さん。ここが排水の良い砂地で、ネギ栽培に最適なのもおいしさの秘密ですが、それ以上に特筆すべきが独特の栽培方法です。
「通常のネギは、播種から収穫まで同じ畑で育てます。しかし谷田部ネギは2度、別の畑に植え替え(伏せ換え)をします。しかも2度目はネギを斜めにし、深めに植えます。そうすることで、土に入っている根部分が大きくなろうと努力し、その結果、釣針状にも曲がるのです。2度の植え換えを経て、自らが頑張って大きくなったネギは、柔らかくとても甘いですよ」
植え換えはもちろんすべて手作業。1本1本いとおしむように、対話しながら斜めに植えていきます。その手間と愛情も、ネギのおいしさに注がれているのでしょう。 |
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ところでネギは料理の脇役と思われがちですが、柔らかくて甘い谷田部ネギは、主役でも十分。特に葉部分のとろ〜りとした蜜はことのほか甘く、料理全体を引き立てます。 「どんな料理にも合いますが、やはりすき焼きや伝統料理のぬたが美味。一口食べれば、谷田部のネギが昔から愛される理由や、おいしさがわかると思います」 日本のみならず、世界にも認められた美味なる谷田部ネギ。根元がキュッと曲がった形と柔らかくて甘い味は、“ネギの本来のおいしさ”を発見、実感させてくれるでしょう。
※「味の箱舟」とは、10年前から始まった、イタリアのスローフード協会による伝統的な食品や食材を守るためのプロジェクト。
日本国内で選ばれているのは現在20品。県内では平成18年に「鯖のなれずし(小浜市)」が初めて認定され、谷田部ネギは2品目となります。 |