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何が違う? どんな味? 福井米の秘密。

福井には大小合わせて、37の蔵元があり、それぞれのこだわりで酒造りが行われています。
米と水というシンプルな原料を使い、複雑な製造工程を経て造られる多くの銘柄があります。長い歴史を持つ福井の地酒。
そんな旨し酒の秘密を探ってみました。


福井が誇るお米4品種紹介


石碑
福井県農業試験場内にあるコシヒカリの石碑
コシヒカリ

コシヒカリ

 コシヒカリは、1956年(昭和31年)、福井県農業試験場にて誕生しました。名前は、越(こし)の国に光輝くことを願い命名されました。品種開発にあたった中心人物は石墨慶一郎氏で、彼はコシヒカリ以外にも様々な品種を生み出した人物でもあります。

 コシヒカリが誕生してすぐ、新潟県の推奨品種として登録されました。というのも、当時のコシヒカリを福井県で栽培するには、いろいろな難題があったのです。
 例えば収穫期、まだ気温が高く稲が伸びやすかったり、収穫が遅いことから秋雨や台風の影響を受けて倒伏しやすかったりなどの問題です。一方、新潟県ではそれらの問題がクリアされ、一足先に奨励品種となったのです。

 誕生以降、福井の土地柄にあった栽培技術の改良が続けられ、1972年(昭和47年)にようやく福井県の奨励品種となりました。

 現在では、全国各地でコシヒカリが栽培されるようになり、さらにコシヒカリから生まれた品種(子孫)も数多くあります。「ひとめぼれ」「あきたこまち」「はえぬき」「つがるロマン」など、聞き覚えがあるのではないでしょうか。
 味は皆さんご存知の通り、「美味しい」の一言に尽きます。美味しい理由は、炊いた時の光沢をはじめ、粘りの強さ、そして低タンパクであることなどがあげられます。

〜 ココもポイント! 〜

 コシヒカリを美味しく炊くコツは、水量を少し多めにすること。炊き上がりはふっくらとしていて、光沢も充分! 食べるともっちりとした粘りがあり、噛むほどに甘みが出てきます。シンプルに白飯として食べるのが一番ですが、梅干などを入れたおにぎりも美味。また酢飯として活用している飲食店も多いようです。



ハナエチゼン
おにぎりに最適おにぎりに最適

ハナエチゼン

 ハナエチゼンが誕生したのは、コシヒカリ誕生から35年後のことです。その間、研究開発に情熱を注ぎ続け、ようやく実った1品種なのです。名前は、コシヒカリよりもいち早く華を咲かせることから命名されました。

 特徴は、コシヒカリよりも倒伏に強く、収穫も一足早いこと(8月20日頃〜)。ちなみに福井県内での作付面積は、コシヒカリに次いで2位、全体の20%を超えています。収穫も早く、収量も多いことから、いち早く美味しい福井の新米を食べたいと考えている人にとっては定評があります。現在、福井県内はもちろん、関西を中心に中京や関東にまで出荷範囲は広がっているようです。

 炊き上がりは、白くて光沢があり、“白い、早い、旨い”の3拍子が揃っている米と言われています。さらに福井県内では、学校給食としても利用されています。

〜 ココもポイント! 〜

 ハナエチゼンは冷めても粘りが感じられることからおにぎりなどに最適です。福井梅やもみのり、おぼろこんぶ、へしこなど、福井の特産を添えて握ったおにぎりは、一度食べたら忘れられない味です。



イクヒカリ

イクヒカリ

 1990年(平成2年)より交配が始まり、2004年(平成16年)に新品種として誕生したのがイクヒカリです。幾久しく光輝く米との思いを込めた命名です。
 誕生までの14年間は、まさに交配の繰り返しでした。福井県農業試験場によれば、200を超える交配の組み合わせから生まれる子どもが10万個以上。その中から、収量や耐病性、品質、食味などを繰り返し調査し、優秀なものだけを選び出します。そして最終的に3個程度に絞ります。
 それらを県内外の農業試験圃場で数年間の試験栽培を行いながら、優れた結果が得られたものだけが新品種として選ばれるのです。

 このように過酷な競争をくぐりぬけて誕生したイクヒカリですが、系統はコシヒカリのひ孫です。コシヒカリといえば倒伏しやすいという難点がありましたが、様々な研究やデータ解析などで見事に克服。その結果、コシヒカリよりも背丈が低くて倒れにくく、台風はもちろんいもち病にも強い品種となりました。生産農家にとっても天候に左右されない、作りやすい米として評判も上々です。
 気になる味も、コシヒカリの系統を受け継いでいますから当然、美味。もっちりとした食感と充分な甘みにファンも増加中です。

とってもカラフルなパッケージ

〜 ココもポイント! 〜

 イクヒカリは、アミロースやタンパク質の含有量が少ないため、炊き上がりはコシヒカリよりもふっくらしていて、冷めてもイクヒカリの方が美味しいと評判です。またパッケージはとてもカラフル! 明るく伸びやかで、健康的な食生活、すなわち福井県のスローガンでもある“健康長寿”を表現しています。



あきさかり(右)コシヒカリ(左)
写真左がコシヒカリ、右があきさかりです。あきさかりの稲の方が少し短いのが分かります。
あきさかりあきさかり

あきさかり

  現在、福井県で一番新しいブランド米が「あきさかり」です。あきさかりは1997年(平成9年)から福井県農業試験場にて交配、育成を進めてきた品種で、2009年(平成21年)から福井県の奨励品種として採用されました。名前は、収穫期の秋、人々がこの品種の魅力に満足し、さらにこの品種が長く愛され繁栄することを願って命名されました。

 あきさかりは、ハナエチゼンやイクヒカリ同様、コシヒカリの子孫の一つです。最大の特徴は収穫期が遅いことで、比較的収穫期が遅いとされるコシヒカリよりもさらに1週間〜10日程度後に収穫されます。その背景には、近年の稲作農家の組織化や経営規模の拡大に伴い、収穫作業が一時期に集中するのを回避するため、収穫期の遅い新品種の研究開発が望まれていたという理由があるのです。

 その他の特徴としては、稲の草丈が低いこと。コシヒカリよりも約20p程度低いので倒伏にも強いのです。それに低いからといって穂数が少ないことはなく、7%も多収との素晴らしい調査結果も出ています。
 また、高温になると登熟により品質劣化が多く見られる水稲も少なくない中で、あきさかりは高温に強く、登熟による品質劣化が少ない品種でもあります。

 気になる味についてはどうでしょうか。あきさかりは精米白度が高く、味にクセがない、誰にでも好まれる味です。コシヒカリの子孫ですから、粘りのある食感で甘みも感じられます。
 育てやすくて味も良い。今後さらに注目される新品種なのです。