限られた時間の中でご説明するため、私のマニフェスト「福井元気宣言」の中間評価と、「ふくい2030年の姿」の2点についてお話しします。
まず中間評価ですが、これはマニフェストをどんな風にマネジメントするかという点に主眼があります。
知事選で北川先生のアドバイスもうけ、マニフェストを掲げて2年半が経ち、はや折返し点を過ぎました。
その間にマニフェストが普及してきた状況にあるといえますが、今思えば、「福井元気宣言」という表題については、「元気」という言葉を使うかどうか悩みました。というのも、いささか政治の言葉にふさわしいかどうかの印象があったからです。
しかし、今思うと、「元気」は、国政も含めて、キャッチフレーズやマニフェストの名称として普通に使われる言葉となり、この一、二年の間にどんどん普及し、こんなことからも、マニフェストの浸透が急速に進んでいるという印象があります。
私自身はマニフェストを「政策公約」と訳していますが、本来の性格に照らせば、マニフェストの成果は、期限到来時に検証され、評価されるべきものです。
しかし、現時点では、どの日本のマニフェストも期限が到来しておらず、最終的な成果を検証できるマニフェストはまだありません。さらに、マニフェスト評価の基準や手法も十分確立されていないのが現状です。
さらに、基本に戻りますとマニフェストは、実行過程であっても、随時その進捗状況が問われるべきですし、必要に応じて施策の見直しを行っていくことも必要です。
私は、毎年度初めに「福井元気宣言」の実施状況を県としての自己点検の形で公表してきました。しかし、これはサービスの受益者や第三者の観点から評価したものではありません。
こうした現状を踏まえ、マニフェストに基づく責任ある政治をさらに定着させるためには、自己点検にとどまることなく、外部の立場からの検証が必要と考えました。
任期の折返し点、100m自由形で言えばターンした瞬間に、どんな中間タイムなのか、後半の泳ぎ方、具合はどうすべきかを確かめてみようというわけです。
できるだけ客観的で多面的な評価となるように、これまでの(1)自己点検と併せて、新しく(2)県民へのアンケート調査を行い、(3)外部の委員による評価も加える、ということにし三本立でやることにしました。
委員には4人の専門家を選びました。いずれもこれまでほとんど私の存じ上げない先生ではありますが、各専門分野で高い評価を受けている学者です。
県民アンケート調査の回収率は65%でした。過去の同種の調査が50%程度の回収率であったことを考えれば、県政への関心は非常に高いとその時に感じました。
アンケート結果では、政治姿勢と「福井元気宣言」に基づく政策の実行について、「高く評価する」と「ある程度評価する」が併せて約7割という、おおむね積極的な評価をもらいました。これは、今後の県政運営に対する県民の期待の表れではないかと思っています。
今回の外部評価は、県民アンケート調査を実施し、有権者の評価を取り入れている点に、全国初の試みとして、これまでにない独自性があります。
今回の評価は、評価委員会が全体を総括して、結果を示すのではなく、「福井元気宣言」の達成状況、アンケート調査による県民評価、評価委員会による外部評価、という三つを併立させて、それぞれの特徴を浮き彫りにしながら、県民が最終的に「福井元気宣言」の実行状況を判断するための手がかりとして提示する形となっています。
もちろんこの外部評価の目的は、これまで2年間の実行状況について、回顧的視点で点数を付けることではありません。
県民の評価や、行政学、経営学等の専門家による客観的な評価を行うことにより、個々の取組みにおける将来課題を明らかにし、それを今後どのように県政に役立てていくかが重要です。
委員会からは、将来の政策課題として、「アウトプットではなくアウトカム(施策や事業に取り組んだ結果として出てきた、県民が最終的に受ける利益)」や「費用対効果(支出した費用に対して得られる効果)」を重視すべきということ、さらに、いまの政策そのものの選択は適切か、つまりマニフェストに形式的に現れない施策にも取り組むことの重要性、などについて示唆を受けました。
この評価結果を生かして後半のマニフェスト県政を進めていきたいと考えています。
2点目は「ふくい2030年の姿」についてです。
マニフェストは、「マニフェストそのまま」では政治の進歩や変化がありません。「マニフェスト離れ」の局面が必要なことも事実です。
マニフェストだけに基づいて議論していると、どうしても4年間という短期的な政治になります。それだけでは、福井の将来や子供の夢などが、どこにあるかが欠落し、長期的視野をもつことが難しくなります。
そうした問題を解決するためには、長期の視点に立った展望が必要だということから、この3月に「ふくい2030年の姿」を作りました。といっても、これを作ったのは私ではなく県庁の若手・中堅職員たちです。これから先の25年後に中心となって県政を担うであろう若い職員自身が、自ら担い手としての責任を意識しながら、若手としての柔軟な発想でビジョンを描くのがふさわしいと考えたからです。
この「ふくい2030年の姿」は、長期構想のように、個々の施策を予め担保する従来型の計画のようなものではありません。
将来の福井県はどんな姿であるべきか、人々はどんな価値観や満足度をもって生活を送るのが望ましいのかといったことを示しながら、逆に今どんな施策を行うのが有効なのか、を考えるための一つの「道しるべ」としての性格を持つものです。
国も今年の4月に、構造改革により実現されるこの国のかたちと実現方策を示した「日本21世紀ビジョン」を発表しました。
そこで、8月に、竹中平蔵内閣府特命担当大臣をお招きして「2030年の日本と福井を考える県民フォーラム」を開催し、地方と国の二つの構想の内容を紹介し、四半世紀後の将来を県民とともに議論するシンポジウムを行いました。
今後の県政においては、こうした「道しるべ」を持ちながら臨んでいくことも重要と考えています。
【3人の知事が報告を行った後、塚本壽雄早稲田大学大学院教授が第三者評価を報告】
マニフェストの進捗状況については、三者いずれもマニフェストの約束事項がそれぞれ十分満たされていると評価されました。
さらに、折り返し点における各知事のマニフェスト検証の仕方を取り上げ評価される一方、西川知事の中間評価の取組みについては、「まさに綿密、詳細、洗練された運びといえます。自己評価に限界があることは、いずれの知事も認識していますが、外部評価は、そうした懸念を取り払うものです。しかし、それは、県民にとって情報のソースが増えることになり、知事にとってはリスクの大きいことです。それを敢えて実施することは、マニフェスト・サイクルを回していくための取組みとして、高く評価できます。」と講評されました。
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