人と川との共生会議での知事の発言要旨

 平成17年7月18日(月)木ごころ文化ホール(美山町)で開催された「人と川との共生会議」における、知事のあいさつ、会議での発言等の要旨をまとめたものです。
 第一部「豪雨災害と復興」では、祖田修 福井県立大学長を進行役に、伊与正博(福井市浄教寺町自治会前会長)、夛田正弘(福井市木田地区連合自治会長)、田中共栄(池田町下池田地区長会長)、長田昌久(福井県和紙工業協同組合理事長)、服部壽一(越前漆器協同組合前理事長)、有塚達郎(美山町長)の皆様と知事が意見交換しました。
 知事は「日頃からの準備と、災害が起きた場合には地域住民の皆様と行政が力をあわせてスピードをあげて対応することが大事」と述べました。
 また、第二部「人と川との今後の共生の方向性について」では、祖田修 福井県立大学長を進行役に、天谷菜海(「サクラマスアンリミテッド」会員)、坂本周一(「エコネイチャー彩みくに」会長)、田中保士(「日野川流域交流会」事務局長)、山下征夫(「福井県ホタルの会」会長)、有塚 達郎(美山町長)の皆様と知事が意見交換しました。
 知事は「安全と環境、水に親しむ親水の両立を絶えず意識することが大切」と述べました。
 なお、知事の川に対する考え方が福井新聞平成17年5月21日「川 生命の水脈」に掲載されていますので、あわせてご紹介します。

 あいさつ

 福井豪雨災害から、ちょうど今日で一年ですが、先般の災害で被害を受けられた皆様、ご苦労された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 また、復興にご奮闘をいただいていることに対し心から感謝と敬意を申し上げます。
 今朝も、各被災現場を回っておりましたが、地域ごとに代表の方にお会いし、復旧が進んでいる印象を改めて感じました。
 今日は人と川との共生ということで、幅広く災害に備える「治水」、川や水をうまく利用して生活をする「利水」、平素の生活の中で水にいかに親しみ、環境の問題に取り組むかという「親水」という意味での川や水との関係を改めて、被災者の皆様や会場のみなさんと意見交換を行う試みとして、会議を開催しました。
 このため、第1部では、自治体、地域住民の代表の方、水と関係の深い漆器や和紙業界の代表の方に参加をいただき、福井豪雨災害を教訓といたしまして、今後、地域や業界として災害をどのように取り組むということを議論いただきたいと願います。
 また、第2部では、常日ごろから川に対する愛着を持って積極的に実践活動を行っている方々にご発言をいただき、人は川に対してどのように接していくとよいかについて、議論いただきたいと願います。
 本日の会議が、皆様に、一つの大きなヒントをお持ちいただく機会になれば幸いです。

 第一部 「豪雨災害と復興」

会議の様子

【知事】
 災害への対応はスピードが第一です。最初の行動、最初動が全てを決しますので、最初動に全力を尽くすのが行政の役割だと考えます。
 初期の人命救助のみならず、復旧、住宅・生活の支援さらには復興においてスピードある対応を行うことが、効果があり、県民の皆様の安心にもつながりますので、これからもスピードを心がけたいと思っております。
 また、災害の危険性を目に見えてわかりやすく把握できるよう、天気予報、川の水位、現場の定点観測などを画面を通じてみんなでうまく利用できるようにすることや、ハザードマップを作成したり、防災訓練などを通じて、日頃から準備をしておくことがますます重要だと考えています。
 災害は忘れたころにやってきますが、日頃から準備をし、地域住民の皆様と行政が力を合わせて、スピードをあげて対応していくことが大事だと思います。

【質問】<災害発生時に大変なことなど教えていただけないでしょうか?>
【知事】
 災害が発生すると目の前の自分がやらなければならない仕事に忙殺され、皆さんで一緒にやらなければならないことを忘れてしまいます。そういうときにちょっと冷静になって、地域の様子や要請、困ったこと、また、我々行政に対しての叱咤激励をいただかないと効果的な防災対策はできないと思います。本日も、いろいろなご意見をいただきましたが、これからも災害の時にはある程度責任を持っている人たちとの連携と地域の連携が大事ではないかと思います。

【質問】<携帯電話が今後役に立つだろう、通じるようにしないといけない
     と思うがどうすればよいのか?>
【知事】
 携帯電話は民間の採算のあうところからやっていく、採算が合わないところは公的な負担をするやり方になっています。
 先般の全国知事会でもこのことが全国共通の課題としてあがっておりますので、国に要請をすると同時に、福井県としても個別にもっとスピードを上げてやっていくという考えで望む必要があると考えます。

 第二部 「人と川との今後の共生の方向性について」

知事発言

【知事】
 災害と川あるいは水との共生ということについて、これまで我々は、これは防災、これは環境と、オール・オア・ナッシングでやってきたような感じがしますが、そこに、いろいろな問題が出ていると思います。
 今回の福井豪雨に際しても、応急、復興をスピードを上げて行う必要がありますが、環境を併せて考えながら防災対策をしないといけない。例えば立派な堤防ができても生き物が住めない、人が近づけないというようなことになり、話が逆戻りになると思います。
 これから考えるべき点として一例ですが、数年をかけて足羽あすわ川は2m以上浚渫することにより、川の流量が増えるという防災効果があり、底が深くなるなら、そこで船などを浮かべられないかということをあわせて考える必要があるだろうと思います。
 また、今年の5月に九頭竜くずりゅう川の河原をサイクリングしたところ、物の見方が変わることがわかります。河原から堤防を見るような感じになります。橋のあるところ以外は堤防から河原に降りる道がほとんどなく、川が目の前にありながら、意外と堤防から河原に降りられないという、いろんな課題があることに気づきます。
 また、南越前町に残っているアカタン地区の砂防堰堤や九頭竜川の昔の鳴鹿堰堤など、先人達が安全を第一にして、工夫をしながら努力してつくった立派なものを、保全し記憶に残すことが、川に親しむことにつながるのではないかと思います。
 また、現在の工事中の市内のメインの橋であるさいわい橋や今後架け替える足羽川の二本の橋についても、欄干の所に高いコンクリートを置くと車の中から川面が見えませんが、工夫して川の様子がよく見えると、川に対する親しみがわくと思います。
 いずれにしても、周りから川がよく見えるように、また、水辺で遊ぶことによって川の方から外の周囲が見えるようにいろいろな工夫をしながら、安全と環境、水に親しむ親水の両立を絶えず意識することが大切でしょう。このことを行政の立場から実行し、また、地域でがんばっていただく人と協力しながら取り組んでいくことが大事だと感じました。

 「川 生命の水脈」(福井新聞平成17年5月21日 福井新聞社提供)

 「ダムや堤防だけでは洪水は防げない。多目的遊水地や住宅の雨水貯留といった総合治水対策、住民の自助・共助の精神が重要になる」と語るのは西川一誠知事。「最新の技術と環境の視点。二刀流の両面作戦でいきたい」と力を込める。源流の森から海に注ぐ河口まで一つの連なりとしてみる意識も強い。
 柔軟で複眼的な姿勢と発想は、減災文化の構築に関してだけではない。「近くの山に登れば流域を眺められる。川の中から街を眺めれば視点が変わる。川の性質を見極め、水や川を生かしたまちづくりにつながる。足羽川の川床を掘削すれば舟運を復活できるし、県庁周辺のお堀に舟を浮かべたっていい」。地域の顔として個性あふれる川をつくれば、地域のブランド、資源にもなる。