第3回ローカル・マニフェスト検証大会

 このページは、平成18年11月19日(日)、早稲田大学で開催された、第3回ローカル・マニフェスト検証大会での知事の報告をまとめたものです。
 大会では、西川知事のほか古川康佐賀県知事、増田寛也岩手県知事が報告し、その後、それぞれの知事について大学の研究者等の有識者が評価者となり、マニフェストの実行過程、進捗度等について講評と採点を行いました。西川知事の「福井元気宣言」については、上山信一慶応大学大学院教授が評価を行いました。前回の得点を上回る88点となり、増田知事とともに最高点を得ました。


【西川知事】
 年度途中ではありますが、これまでの3年半の間に、「元気宣言」で当初掲げた目標に即して着実な成果を上げてきたと考えております。特に、景気・雇用情勢の回復、少子化対策、治安の回復などの政策分野で先進的な施策を具体化し、全国に誇れる優れた成果を上げることができたのではないかと考えております。

 中には、太陽光発電量のように達成が厳しい数値目標もありますが、初めから無難な目標を選んで掲げたわけではないということでもあります。原因分析をしっかり行い、新たな目標設定や施策の見直しなど、次の段階につなげるようにしたいと考えています。

 まず、経済・雇用対策ですが、知事就任の平成15年当時、県内の完全失業率は4%台、有効求人倍率は0.81と1倍を割り込むなど、本県の景気・雇用情勢は非常に厳しい冷え込みでした。「元気宣言」で経済・雇用対策を最優先に掲げたのも、こうした厳しい現実認識があったからです。このため、「元気宣言」では、「経済社会活性化戦略会議」の設置と戦略構想の策定、「15,000人の雇用創出」、「5,000の新規創業を達成」などを目標に掲げました。

 この目標を具体化するため、「挑戦(チャレンジ)ふくい−経済社会活性化戦略プラン」や「雇用創出プラン」を策定し、企業誘致や「ジョブカフェ(若者就職支援センター)」の運営をはじめ、若年者の積極的な雇用促進対策などを展開してきました。

 特に就職環境が厳しい若者層の雇用の確保については、私自身が出掛けていって、経済界の方々に新卒者の採用について要請しました。本県の高校卒業者の就職率は2年連続で全国第1位となっています。

 「15,000人の雇用創出」という目標も、速報値ですが、平成15年4月から本年9月末までの雇用創出実績が15,401人となり、目標を達成しました。また、県内への新しい企業立地は平成14年の3件が15年、16年にはそれぞれ14件、17年には31件、本年は10月現在で34件と大きく伸びています。

 本県の完全失業率の低さは、平成16、17年と2年連続で全国最低となるなど、著しい改善傾向を示しています。最近では、平成18年の第2四半期(4〜6月)の失業率が2.4%と全国1位の低さとなっています。引き続き、積極的な新規創業の支援や企業誘致活動などに取り組み、この流れをしっかりと定着させたいと考えています。

 次に少子化対策についてですが、高齢化が一方で進む中、少子化の進行は、国全体で深刻な問題となっています。一般に生活基盤が安定している社会ほど出生率は高いとされていますが、本県の完全失業率は全国で最も低い水準を維持しています。さらに、女性の就業率や夫婦共働き率の高い地域ほど出生率が高いことも明らかになっていますが、本県はいずれの率も全国トップレベルです。

 しかし、そうした女性たちを支え、働きながら、安心して子どもを産み育てられるようにするためには、勤務中に安心して子どもを預けられる環境や、いざという時の医療体制の充実が最優先の課題ではないかと考えました。このため、「元気宣言」では、例えば、延長保育や一時預かりの充実、デパートや公共施設における休憩室・授乳室の設置促進、病気の子どもを預かるデイサービスなどの子育て家庭支援を具体的施策として掲げました。そして、いずれも目標達成に向けて順調に進捗しています。

 延長保育の実施数は、平成17年度末では2年前と比べて約4割増、一時保育は約5割増となっています。また、保育所整備の促進等により、保育所入所待機児童数はゼロを維持しています。さらに、平成16年に県立病院に母子医療センターを運営開始して以来、本県の周産期死亡率(妊娠22週以降の死産する率と生後一週間未満の新生児が死亡する率の計)は減少する傾向にあります。

 今年6月に発表された厚生労働省の人口動態統計によれば、全都道府県の中で、本県の合計特殊出生率だけが上昇し、その数値自体も全国第2位となりました。三世代同居・近居といった本県の特徴も、こうした成果と因果関係があるようです。

 日本と同様に少子化が問題となっている韓国からも注目され、KBSや韓国文化放送などのマスコミが相次いで取材に訪れています。NHKの番組でも、少子化で全国的に出生率が低下する中で、唯一上昇させた県として本県が取り上げられ、全国に紹介されました。 今年度からは、「ふくい3人っ子応援プロジェクト」ということで、妊婦検診費、保育所入所児童の保育料などを思い切って無料化しました。理容店・美容店の協力を得て、結婚相談事業の紹介もしていただいています。

 次に、治安対策ですが、知事に就任した当時、福井県の治安情勢は、刑法犯認知件数が平成14年まで8年連続して増加、3年連続して戦後最多を更新という、極めて深刻な状況にありました。「元気宣言」では「安全・安心な県民生活の実現」を掲げていますが、知事部局と県警察とが密に連携して課題に取り組むため、重点的な治安対策の施策を盛り込んだ共同の「福井治安回復プログラム」を策定しました。警察と共同文書を策定するのは全国で唯一の取組みではないかと思います。

 これに基づいて様々な施策を実施した結果、本県の刑法犯件数は平成15年から3年連続で減少し、平成16年には減少率が全国第一位となりました。17年には刑法犯の検挙率が52.7%と全国第一位になっています。

 また、子どもの安全・安心の確保のため、県民がボランティアとして、全県下の小学校区ごとに、登下校時に見守り活動などを行う「子ども安心3万人作戦」を県民総ぐるみで展開しています。活動を行っている県民の数は、既に当初想定の3万人を越え、「4万人作戦」といってよい状況になっています。

 最後に、「元気宣言」の達成状況のとりまとめと公表についてですが、新県政発足の年から、マニフェストの年次実行計画に相当するものとして、部局長との間で「政策合意」を締結しています。マニフェストを県民に提示した上で、これを実現するための「政策合意」を結ぶというやり方は本県が初めての試みでした。達成状況は毎年度、ホームページ等で公表しています。

 また、昨年は、任期折り返し点ということで、「元気宣言」の実行状況について中間評価を実施しました。県の自己点検、県民アンケート調査、専門家による外部評価という三者並立の仕方でチェックを行いました。

 本年度は「元気宣言」の最終年次に当たります。今年度に公表する「『元気宣言』実施状況」は、まさに4年間の取組みの全体像と最終成果を示すものとなります。マニフェストを掲げた自治体の首長は、私を含む15年4月当選の知事が最初ですので、最終結果をとりまとめるのも初めてということになります。ですから、公表の仕方も工夫が必要です。

 県民に今後の4年間の施策に向けた判断材料としてもらうためには、できるだけ早い時期に「元気宣言」の最終成果を明らかにしておくことが重要ではないかと考えています。そこで、今年度の「実施状況」については、最終的な確定値の公表前に、分かりやすくまとめた資料とともに、本年12月頃に前倒し公表する予定です。

 マニフェストの手法、成果、つまり県民益への関心は高いと思いますが、今後の課題として、マニフェストを超える課題にも注意を払っていかなければならないと考えています。有権者に分かりやすい政治を心がけていくことも必要です。


【上山信一教授の講評】
 西川知事は、マニフェストの実行状況について、かなり具体的な報告を出しているという印象を持っている。
 「元気宣言」は副知事時代の豊富な行政経験もあってか、非常に秀逸な出来であり、よくまとまっている。
 庁内マネジメントにおいても、マニフェストをフルに使いこなしているようである。
 特筆すべきは、部局長との「政策合意」であり、知事就任後すぐに、マニフェストに基づいて各部局でどうするかを年次実行計画として具体化している。
 しかも、毎年、新年度の初めに遅滞なく発表しており、時間感覚が非常に厳格である。
 「政策合意」の中身を仔細に見ると、年度を経るにつれて質が向上しているのがよく分かる。
 部局長との間で真剣な議論を積み重ねて作成し、マニフェストを梃子に庁内を引っ張っていることがうかがえる。
 マニフェストや「政策合意」の達成状況も、よく進捗していると言えるが、それぞれの結果情報の中に詳細なデータが開示されており、エビデンスもしっかりしている。

 上山教授はこのように講評され、88点という総合評価を示しました。(古川知事は86点、増田知事は88点。)

 また、閉会に当たって、北川正恭早稲田大学マニフェスト研究所長は、西川知事の報告について、「マニフェストの出来がよく、これを忠実に実行に移している。「政策合意」をもとにして、県庁全体のマネジメントの改革に取り組んでおり、地味ではあるが、大きな分権改革の中で全国のモデルとすべきものであり、高得点につながった。」と述べられました。