皆さんには、新しい年をお元気で迎えられたことを心からお慶び申し上げます。今回のお正月はそれほど長くはなかったと思いますが、それぞれご家庭をはじめ、いろいろなところで英気を養われたことと思います。また、今年は去年からの大雪で大変ですが、ちょうどお正月はあまり雪もなくゆっくり過ごされたと思います。
今日は年頭ですのでごあいさつをさせていただきます。しかしながら年末に皆さんにごあいさつしてから1週間しか経っておりませんので、特に、話が変わるわけではありません。年末にはお話が少し長くなってしまいましたが、今日はそれほど長くはならないようにと思います。
実際は去年と今年というのはつながっているものでして、私は昔俳句をしていましたが、高浜虚子という方の俳句に、「去年今年貫く棒の如きもの」という、去年であれ今年であれ境目はあるけれども1本の流れがつながっているんだという句があります。私もそういう気持ちであります。したがって昨年末に申し上げたお話を新年も継続して進めていただければ、まずは十分かと思っております。
しかし年が改まりますと、ひとつの節目ではありますし、1年が経ったということですし、節目が経過すると人も人の心も変わります。世の中も少しずつ変わりますので、新しい心構えで新年を迎え、新しい気持ちで仕事を継続して進めていただけるかと思います。お正月にデパートに行きましたが、やはり去年と新年とでは様子が違います。売っているものも似てはいても少し違いますし、お客さんの数もまた違います。皆さんの顔つきも違うわけで、新しい年にふさわしい仕事ぶりも必要かなと思いながらごあいさつをしています。
ぜひ数日のうちに、それぞれの皆さんの目標、部課の課題、県全体のことを考えながら仕事に着手してほしいと思います。1年全部をあまり詳しく見すぎますと大変な気持ちになりますので、それほど遠くはご覧いただかなくてもいいですが、大体の見通しを立てながら1日1日を進めていただくことが大事かと思います。
身近な話になりますが、私の部屋は県庁7階にあり、私は時々階段を使うよう心がけています。今日はそういうつもりでいましたが、玄関へ入って思わず忘れまして、ちょうどエレベーターが来ましたのでつい目先にとらわれて乗ってしまいました。乗ってしばらくして、しまったと気がついて途中で降りて3階くらいをのぼりました。「1年の計は元旦にあり」ですが、私は「1年の計は階段にあり」と思っていましたが、このようなごく些細なことでもいざ実行しようとすると目先のことにとらわれて実行できないものです。まだ覚えているうちはいいですが、それすら忘れていることがあると思います。これが大きな仕事になるとますます難しいと思います。
さて、今年は岡倉天心先生が茶の本を出されてちょうど100年ということで、お正月に読ませていただきました。だいたい80ページくらいの薄い本です。以前に読んだことがある本ですから線が引いてあります。線の部分だけ読むと15分でだいたいの内容がわかります。いろいろなことが書いてありますが、表紙にはお茶を西洋人に理解させるために書いた本で、日本に関する独自の文明論だとあります。ともかく書中でいちばんおもしろい部分はどこだろうと思って線を引きましたが、その言葉を申し上げます。27ページですが、「この世のすべての良いものと同じく茶の普及もまた反対にあった」とあります。お茶というのは文化面でも生活面でも今大事な習慣であり文化であり芸術であると思いますが、その喫茶という習慣について反対にあったとあります。18世紀にはお茶を体に悪いとか不潔だとか反対にあったということが書いてあります。何事も新しいことをしようとするときには、それが良いものであってもあるいは良いものであるがゆえに反対にあったりしがちだということです。茶の本出版100年ですのでご紹介しました。もちろん本全体を読んでいただくのが大事だと思いますので、ぜひ一読していただきたいと思います。
我々の些細な事柄でも日常的な仕事でも何かすると自分の心の中にこれはやってよいことなのか、あるいはやり通せることなのかという心の抵抗がありますし、組織的にも同様のことは起こります。これは無理だとか誰も賛成してくれないんじゃないかとかいろんな反対意見を調整・集約しながら新しいことができるのではないかと思います。先ほどの例のお茶や大事業でなくても、皆さんの日常的な仕事あるいは日常を少し超えて進めようとする場合にも絶えず問題は起こってきます。そこで議論をしながら一つひとつ進めることによって、少しでも良いことが前に進んでいくのではないかと思います。その例としてお茶の本の話を申し上げました。
今年はいろんなことがありますが、私も知事に就任して4年目の年になります。マニフェスト「福井元気宣言」を最終的に、その目標を実現していく段階ですが、私自身の気持ちとしては単に目標達成で済むということではなくて、細長く棒のようなものと考えて、さらに先へと皆さんの力を得て伸ばしていってほしいと思います。
この年末年始に読んだ本の中に、私たちの力や仕事はごく限られていて、多くの先人偉人の上に我々が少し物事を加えられるだけである。しかし、我々が現在持っているものはエネルギー・力・意欲の3つしかないが、それを使ってこれまで継続して先人の業績に何かを加えることができるのではないかというようなことが書いてありました。良い言葉だと思いましたので紹介させていただきました。そういう気持ちで私はお正月を迎えたところでして、皆さんそれぞれ目標を持っていただいて仕事やご家庭のいろいろな課題に公私ともこの1年新しい気持ちで取り組んでいただければ幸いです。
あわせて皆様方のご健康とご家族のご健勝を心からご祈念を申し上げて、県民のためにいっそうご奮闘くださいますように心からお願い申し上げまして新年のごあいさつといたします。
|
|
|