本日ここに第20回新社会人式が盛大に開催されるにあたり、一言お祝い申し上げます。
皆様は、新社会人としての門出を迎えられ、大きな希望を胸に新たな活躍の場へと第一歩を踏み出されますことに対し、心からお喜び申し上げます。
現在、本県の景気動向は業種によって企業の業況感のばらつきはあるものの、製造業を中心とした緩やかな回復の動きとなっております。また、雇用情勢については、平成17年の完全失業率が2.7%と、5年ぶりに2%台を回復し、二年連続で全国最低値となり、日本一働きやすい環境にあります。
このような中、県は、県民の皆様のためにはたらく指針となる「福井元気宣言」をマニフェストに掲げ、「元気な産業」「元気な社会」「元気な県土」「元気な県政」という4つのビジョンを実現するため、諸施策に積極的に取り組んでいるところであります。そして、多くの皆さん方が、できるだけ地元福井で希望の仕事についていけるよう努力を続けています。
さて、せっかくですので今日は1つのお話を申し上げます。先日、第1回WBC(ワールドベースボールクラシック)で、王ジャパンがよく勝ったり、負けたりしましたが、最後のねばりで日本がめでたく優勝しました。この王監督のことをお話します。私は王監督の友達でもありませんし、話したこともありません。しかし、プレイの様子をよく観戦していた経験があります。
私は、昔、広島に住んでおりました。野球が好きで、市民球場での広島カープと巨人戦をよく観戦したものです。職場が近かったので残業をしていて、だんだんよい頃合いの時間になるので、見に行くのです。王選手の全盛時代の頃と思います。
王選手が打つ球筋は大変高くて、あ〜ずいぶん高いフライだな〜。セカンドかせいぜいライトフライだな〜と思い見上げていると、そのふんわりと打ち上げたボールの落ちるところがライトスタンドの中なのです。そんなふうにしか見えませんでした。
これから申し上げるのは、王選手のホームランの話ではありません。野球には各イニングごとにしばらく打者が立つまでの間がありますね。広島の応援は一塁側ですから、いつも王選手は私の目の前のファーストでプレイをしていました。テレビですとその間はビールや車のコマーシャルですから、見えません。しかし、野球場ではボールの動きではなく、目の前の選手の様子に目がゆくのです。
その間、王選手はサード、ショート、セカンドにゴロのボールを送って、返球を受ける。これを数分のうちに何度か繰り返すのですが、全く各回規則正しく、まるで農家の人が耕したり、職人さんが道具を使っている時と同じように、単調なことを繰り返すのです。
そして、打者がバッターボックスに立ちそうになると、ポイとボールをコーチの方にいつも同じ身ぶりで返すのです。この動作も全くのくり返し、くり返し、同じことをしていました。
こうした姿は試合の中には入らない部分なのですが、私はこれを目の前でよく見ていて、なんとプロ野球選手としての仕事というのは単調なことの繰り返しなのかと、つくづく不思議に思った経験があります。私達はテレビで、いつもボールが投げられ、打ち、転がり、捕えられる、その場面だけを次々と眺めています。しかし、一人のプレーヤーだけを眺めていますと、絶えず忠実に同じことを繰り返し、ボールにさわる場面は多くありません。
打者としての王選手は、その単調な同じようなバットのスイングの繰り返しの中に、時々ボールがバットに大きくあたり、ライトスタンドに入るホームランとなり、一生涯の中で868本の記録となったのです。
私たちの毎日の仕事は、プロ野球に比べると、観客の中でのはなばなしいプレーをするものではない地味なものです。テレビでは派手に見えますが、野球そのものも目の前で見ると、地味な感じを受けます。我々の仕事は、プロ野球のように自分の体をはってやるものではなく、もっと地味なものと思いますが、しかし、地味なところはどの職業もよく似ていると思います。
仕事をマスターし、その成績が上がるようになるためには、地道な繰り返しの部分、また、周りの人たちのアドバイスも率直に受ける必要があります。要するにかなり粘り強さも必要ですし、忍耐がいるという訳です。
私もこれまで、いろいろなレベルの仕事をしてきましたが、仕事はどんな段階の仕事でも、どれも楽しいこと、難しいこと、苦しいことなど、変わりはないように思います。しかし、幸いなことに楽しいことの方が多いのですよ。
ただ一つ皆さんにとってよいことは、若い人たちは、若いから元気があり、ひとつのことを継続してやると何でも出来ると思いますし、これからの人生において、結婚、子育てなど色々な良いことがあるはずだからいいなと思うのです。
まず上司、先輩などの励ましやアドバイスに素直に耳を傾け、自分の意見をもって大いに議論していただき、様々な経験を積み重ねることで、企業人としての大きな成果を上げられるようがんばっていただきたいと思います。
本日、ご出席の事業主の皆様におかれましては、本県を担う若者の可能性を、厳しい中にも温かく見守っていただきますようお願いいたします。
終わりに、ここにお集まりの皆様方の各職場におけるご活躍とご健勝を心から祈念申し上げまして、お祝いの言葉といたします。
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