新年明けましておめでとうございます。皆様方にはご家族ご一緒にお元気でこの新しい新春をお迎えになられたことと思います。心からお慶び申し上げます。また、昨年は一年間仕事やプライベートなことにたいへんなこともあったかと思いますが、お元気でご活躍をお願いしたところでして、心から厚くお礼申し上げます。この新しい新年も皆さんとともにがんばって仕事を進めていきたいと思います。
せっかくの機会ですので、お正月に考えた少しお正月的なことと仕事のこと、大きく分けまして二つ申し上げますのでお聞き願い、役に立つことがありましたら実行していただきたいと思います。
まず、「福井元気宣言」に基づく県政も残り3か月余りとなったところです。
新春に臨んで決意を新たにし、職員の皆さんとともに県民生活の向上のため、引き続き全力で仕事を進めてまいりたいと思います。
さて、中学生の頃覚えましたが一月は英語でJanuary(ジャニュアリー)です。これはローマ神話のヤヌス(Janus)、神様の名前でラテン語ではヤヌアヌスというそうですが、これに由来するといわれています。このヤヌアヌスは玄関・入口を守る守護神です。
ヤヌスは顔を二つ持っており、一つは過去を見つめ、もう一つの顔は未来を見つめているとされています。時間を軸にしますと、過去を踏まえながら将来を見るということで1月の神様になったのだと思います。二面性を持っているということです。我々も、正月に当たりまして、これまでの一年を振り返りながらさらに将来を見据えるという気持が大事だと思います。
昨日の新聞を見ましたら、ノーベル賞を受賞された江崎玲於奈さんの「私の履歴書」が載っていて、そこにもヤヌス神の名前が出ておりました。この方はちょっと違うことを言っておられて、同じように二面性があるのですが、一つは客観的・論理的・理性的な面、我々は理屈やデータを並べて仕事をしますが、そのように論理的な面です。もう一つは主観的・個性的・情感的な面、意欲とか感情です。こういう両方の面を持った神様であるというようなことが書いてありました。アインシュタインの言葉などを例にして、ノーベル賞などを受賞するような学者の研究というのは、過去から積み重なった理論の中からいかに自分の霊感や精神から何かを見出すかということが、科学の発見の一番大事なところであるというようなことが書かれていたように思います。
この論理的な部分を昼のサイエンス、情感的な部分を夜のサイエンスという表現をとっていました。表現の仕方はともかく、仕事には二つの面があって、過去から積み重なってきた蓄積である理論は学問的には非常に大事ですが、一方で感情・意欲・思いというものが重要であるということを述べています。
昔フロンティア理論という学問でノーベル化学賞を受賞された福井謙一さんと直接お話をしたことがありますが、福井さんはいつも枕元に紙と鉛筆を置いておいて、何か思いつくとそこでメモをするそうです。「暗闇でどうやって書くのですか」と尋ねたことがありましたが、暗闇の中でも数式は書けるというようなことをおっしゃっていました。これは夜の科学です。今のお話の中でそういうふうに思いました。
科学のお話をしましたが、これは我々の仕事にも通じるものがあると思って読ませていただきました。ノーベル賞とは違いますが似たところがあります。新しいシステムを作ったり想像しなければならない仕事ですから、理屈や統計や資料や論理立てだけでは物事は解決できません。新しいアイデアやシステムや制度は皆様方の思いや情熱から出てくるものではないかと思っております。昼の仕事をしなくていいというわけではありませんが、夜の仕事をしなければいけないと思っております。
お正月ですので、このようなお話を冒頭に申し上げました。ぜひ、仕事というものは多面的であって理屈だけではないということを念頭に置いて、お仕事を進めていただきたいと思います。
さて、代わって一般的なお話を申し上げたいと思います。
これまでは、「元気宣言」の具体的施策や目標に描かれた具体的な仕事をしていただいたわけですが、今年について言えば、少なくとも皆さんにとっては、今のところ、白紙の状態にあるわけですので、先程過去を振り返り未来をということでしたが、ぜひ残り三ヶ月、予定・目標をしっかり踏まえながら成果を出していただくと同時に、これから一年間、また五年・十年のことを思う絶好の機会ではないかと思います。福井の農業はどうするべきか、環境問題・教育問題など、一つひとつのことを皆様それぞれのお立場で、三ヶ月の成果をしっかり出されると同時にお考えいただきたいと思います。
その際のポイントを何点か申し上げます。
我々の仕事は普通の人・普通の事を相手にした仕事ですので常識にとらわれやすくなります。しかし、仕事が普通ではいけない、常識に捉われてはいけないわけです。特に若い職員の方にはいろんなアイデアを出していただいて、これが活かせるようにしていただきたいと思います。机上の常識・狭い範囲の常識にとらわれないで、引き続き仕事をしていただきたいと思います。
幸い、昨年からは庁内ネットワークによる職員政策フォーラムや恐竜カードゲームの活用など若い職員の皆さんの新しいアイデアが多くの分野で出ていると思います。こうしたことを引き続き進めていただきたいと思います。
毎年基本に立ち返って問題点を原点から見直して、仕事を進めていただくようお願いしたいと思います。特にご自身の考えを大事にしてください。他人の考えも重要ですが、放っておいて忘れないように、暗闇でも字を書くくらいにご自身で思いついた考えを活かして進めていただきたいと思います。
二つ目は「マニュアルを超える」という点です。行政の仕事は法律に従って公正に進める必要があり、これはもちろん大事なことで、しっかり進めていただかなくてはなりません。一方で政策合意や皆さんの目標の管理というものがありますが、これは一つのマニュアルです。「マニフェスト」と「マニュアル」、言葉は似ているのです。共通点があるから似ているのだと私は思います。ひとつの決め事ですが、これがすべてではないのです。マニュアルを超えて仕事をしていただかなくてはならないのです。目標も、背後にねらいとして何があるんだということを考えて仕事を進めていただければ幸いです。
お正月にテレビで歌舞伎を見ていまして、勧進帳をやっておりました。富樫という関守はマニュアルを超えたのか、マニュアルどおりやっていたのでは勧進帳は劇として成立しません。何かそこに新しいものが必要です。もう一つは世話物ですが、切られ与三郎という作品があります。また切られお富という、女性がそのような役になっている歌舞伎もあります。演劇の世界でも常識にとらわれない面白い試みがあると思いながら芝居をテレビで見ておりましたが、我々の世界もそういうものだと思います。マニュアルにとらわれずに超えていただくことをお願いしたいと思います。
最後に三点目ですが、時間についてです。今年は猪年で「猪突猛進」、「スピードと決断」が私のマニフェストの項目の一つですが、特に時間を大事にしていただきたいと思います。時間に追いかけられるような仕事ではなくて、時間を待ち伏せするような仕事ぶりを心がけてほしいと思います。
時間というものは自然に経つものではなくて、皆さんが作るのが時間でして、皆さんが目論んだものが皆さんの時間となると思います。自分たちの都合を大事にしてほしい。あまり周りに都合を合わせないで、皆さんの都合を他の人の都合に、できるかぎりの心構えで時間を大事にして仕事を積極的にお進め願えればありがたいと思います。
以上三点申し上げましたが、県民の皆さんに「福井元気宣言」の仕上げにふさわしい成果を実感してもらえるよう、さらに本年限られた期間ですが、全力で取り組みたいと思いますのでよろしくお願いいたします。皆様方にはいっそうご健康に留意をされまして、ご活躍をいただきますように心から祈念申し上げましてお正月のあいさつとしたいと思います。ありがとうございます。
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