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平成9年1月2日に島根県沖の日本海で沈没し、船首部分が福井県三国町に着底したロシア船籍タンカー「ナホトカ号」の油流出事故では、大量の重油が日本海沿岸各地に漂着し、自然環境や地域住民の生活に深刻な影響を与えました。
事故当初は、漂流および漂着した油の回収方法について、有効な情報がなかったため、ひしゃくやバケツ等を使っての人海戦術に頼らざるを得ず、効果的な油の回収技術情報の提供が各方面から強く求められていました。
このため、福井県では直ちに「重油回収技術対策連絡会」を組織し関係機関や団体、民間企業等の協力を得ながら、重油回収にかかる技術対策および技術情報について報告書をとりまとめ関係機関に発表、その後の重油回収作業に大きな成果をあげました。
漂流油、漂着油に対する有効な回収方法の情報が世界的に不足している中で、この報告書にまとめられた重油回収にかかる技術対策に関する記述は、関係者の皆様に大変役立つものと考え、ここにご紹介します。
インターネットでは、紙面の関係で一部の内容でしかご紹介できませんが、詳しい内容をご希望の方は、福井県危機対策・防災課へご連絡ください。
| 回収方法の内容 | 留意事項 | 問題点 |
| 【タモによる回収】 1 方法 網をたるみのないように張ったタモを使ってすくいとり、ドラム缶に収容する。 2 条件 浮遊油が粘性を増し、塊状になっていること。 3 能力 最大600 リットル/人・日 |
●網の材質はナイロンテグスまたは金網がよい。また、直径30cm、網目16mm〜20mmが使いやすい。 ●10t以上の船では、舷側が高いため、作業能率が悪くなる。 ●大敷網で使用する漁船は舷側が低く、甲板が広いので多人数が乗船でき、作業性がよい。 |
●長時間使用すると油が網に付着し、作業効率が落ちる。 ●波風の影響を受けやすく、操船に難点がある。 |

| 回収方法の内容 | 留意事項 | 問題点 |
| 【クレーンによる回収】 1 方法 鉄またはステンレス製の環や枠に網を取り付け、これらを使って海面を曳航することにより、油塊を回収する。適当量が採集された時点で、クレーンを使って甲板に引き上げドラム缶に収容する。 2 条件 浮遊油が粘性を増し、塊状になっていること。 3 能力 最大6、500 リットル/隻・日 |
●採取道具 環の場合 大きさ直径1.3m 枠の場合 大きさは3m×1m位 網の長さ3m、目合15mmが使いやすい。 |
●約3分の1が網に残る。 |

| 回収方法の内容 | 留意事項 | 問題点 |
| 【回収ネットよる回収】 1 方法 浮子を付けた曳き網を2隻の船により曳航する。曳き網の後部には、交換式のバックを取り付けて一杯になったら切離して新しいバックと交換することで連続的に回収する。切り離したバックは、海面に浮遊するので別の船で回収する。 2 条件 高粘度の浮遊油から塊状の油まで回収可能。 曳航する船は、5t以上が望ましい。 曳航速度は、2〜3ノット 3 能力 速度3ノットで130キロリットル |
●2隻の船は同規模のものとする方が作業性が良い。 ●バックは再利用が困難であり、多数準備する必要がある。 |
●波風があると回収効率が低下する。 ●波の高いときは作業が困難になる。 ●回収バックが再利用困難 |


岩場は、垂直な崖になっている所や岩石が積み重なっているなど様々であり、地形に合った回収方法が必要である。 温水や高圧水による岩場の洗浄は、一時的に生態系に及ぼす影響があるため、限定的に利用することが望ましい。
| 回収方法の内容 | 留意事項 | 問題点 |
| 【高圧温水洗浄機による洗浄】 1 方法 ボイラーで温めた海水や淡水を岩肌等に噴出し油を洗い落とす。 2 条件 温度80℃、圧力100kg/c・で40秒間洗浄すると岩場等の表面はきれいになる。 また、温度が30℃の場合でも、60秒以上洗浄すれば同等の効果が得られる。 3 能率 25〜50・/hr |
●除去された油が一気に流出するため、これに対する拡散防止・回収に万全を期す必要がある。 ●油の付着状況により、必ずしも高圧温水でなくても洗浄できる。 このため、作業開始段階において、圧力や温度条件を変えて試行する。 ●海水に使用できない洗浄機・ポンプがあるので注意する。 |
●洗浄水が高温の場合、生態系への影響が懸念される。 |

砂浜海岸については、油回収の程度や緊急性等によって、対応方法を決定する。
| 回収方法の内容 | 留意事項 | 問題点 |
| 砂浜が広く機械力を必要とする、または緊急を要する場所 【ビーチクリーナによる回収】 1 方法 網目10mmに改造したビーチクリーナで回収する。 2 条件 砂浜が広く機械力に頼らざるをえないところ。 3 能力 砂浜の表面および深さ10cm以内にある大きさ1cm以上の油塊は除去される。 作業能力 湿った砂:1,300・/hr 乾いた砂:4,000・/hr |
●大きな石ころのない場所で利用する。 ●傾斜地では、機体が傾かないように進行方向を考慮する。 |
●直径1cm以下の油塊については、回収・除去できない。 |

| 回収方法の内容 | 留意事項 | 問題点 |
| 【砂を海に押し出し、波の力を利用した洗浄】 1 方法 ブルドーザ−等の重機を使って、汚染している砂を波打ち際へ押し出し、波の力で洗浄する。 2 条件 流出油による2次被害の恐れのないところで実施する。(漁場の近くは避ける。) 3 能力 作業能率は、500〜1,000・/hrである。 |
●砂の油汚染の状況を事前に調査し、押し出す場所や量を決定する。 ●洗い出された油の回収を同時に行う。 |
●波の高い時ほど洗浄効果は高いが、油回収作業は 困難になる。 |
| 回収方法の内容 | 留意事項 | 問題点 |
| 【波打ち際での浮遊油の回収】 1 方法 波打ち際で砂を洗浄する時に、流出した浮遊小粒油塊を吸着回収するため、波打ち際にプリーツネット(幅4〜6m)を海岸線に並行に敷く。 2 条件 ネットをしっかりと固定しておく。 |
●固定器具(60cm以上のアンカー)でネットをしっかりと砂浜に固定する。 ●ネットの片端は海面に浮いている方が効果は高い。 |
●波が2m以上になると、ネットが外れる恐れがある。 ●海面に浮いた薄膜油は回収できない。 |

