暇を持て余すことが嫌いで農業に携わりたいと考え、8年前に福井へ定住された鶴さん夫妻。サラリーマン時代、不況の風に煽られ決心したという。「就農については、以前住んでいた京都や大学があった九州などを検討しましたが、福井県の担当者が一番親身に対応してくれた」のが切っ掛けとなったよう。
「福井は、犯罪も少なく日本一平和なところだと感じました。特に農業をしていると、九州とちがい、何といっても台風の影響がほとんどないのが良い。雪が多いというものの、そう極端でもなく、気候が良い。」そういった意味からも、福井は生活しやすいということが窺える。
「福井は、水が良いんでしょうね。何でもつくれる農作物を作るのに適した環境があるんです。」ちなみに、6~7月はメロン、7~8月はスイカ、9~11月はトマト、11~1月はニンジン、ホウレンソウなどが収穫できるそうだ。「堆肥を撒き、地力を上げて、良いものが穫れるように努力している」365日農作業で休みがとれないという鶴さんだが、農業ができることを心底喜んでいる。「以前、長女や次女の結婚式で二人共離れたことがあったが風、雨の影響をハウスが受けないか常に心配だった。」とまるで子供の世話をしているように話す鶴さん。
福井へ来て、まず不便に思ったのが、郵便局やATMなどの公共的な施設などの利用時間が短いこと。「でも、動きが活発でない分、人間だらけではないことでは楽。生活する上では充実しています。」都会では孤独死される方が少なくはないが、福井ではそんな心配はいらないと続ける。「畑がサロンになっているようで、毎日、畑に近所の方が遊びに来るんですよ。家にいても誰かが訪ねてきますしね。」
農業は、1年間の研修を受けて、やり方によっては銭儲けにもなるそう。鶴さんの場合は、新しい機械を導入するためにペイするにはあと2、3年はかかるそうなのですが。「やればやる程、欲が出て、これが良い方向にいっています。販路も確保して、売上げもアップしています」と嬉しそうに話す。「農業には定年退職というものもありません。金、体力、暇がある限り続けられる。そういった意味では若者も興味を持つはずだ」と助言をいただく。
現在、この地区一帯では深刻な後継者問題を抱えているという。北潟地区は平年齢70歳を超えており、今後、ハウスの廃業件数は増えていくだろう」と。日本でも指折りの農作業に適した場所「北潟」の存続は、これからの若い世代にかかっている。「農業は元金がないと難しいため、若者には補助をするといいのではないでしょうか」どこまでも農業一筋だ。
「余生を過ごすには最高な場所。温泉もいいし、空気が美味しい。大阪や京都ではほとんど感じられない、近所の方々との温かい距離感がここにはある」。
新福井人として、東京や大阪での説明会に参加することもあるのだとか。「説明会で言っていることなのですが、近所付き合いとか、周りの環境に馴染めないのではないかと、都会の方々は思っているようです。でも、決して、そんなことはないですよと言っています」。