池田さんは、名古屋の大学で会社法を学んだ。その後も司法書士の勉強を含め、名古屋で生活していた。目指す仕事柄、名古屋での就職も視野に入れてのことだった。そんなとき、大野市出身の池田さんは、地元の福井県Uターン情報センターに出会う。まさかと思っていた通関士募集の情報があったのだ。
貿易される物は、工業製品から食品まで無数にある。その種別によって異なる関税がかかる。その根拠となるのが、関税法、通関業法であり、法規のなかで関税を見分け申請することが「通関士」の仕事となる。
現在、池田さんが勤務する株式会社福栄倉庫はその名の通り、繊維王国福井の物流を担う役割を持って創業した。現在は業務を広げ、日本と海外を結ぶ国際物流を本格的に手がけるようになっている。まさに、池田さんのような人材が必要だったのだ。
「勉強してきたことが地元でこんなにぴったり当てはまるとは。」池田さんは語る。
「たとえば、第二種貨物利用運送事業の許可を取っている企業は、北陸では珍しく福井では初の取得企業となります。その資格によって、国内のトラック物流だけではなく、飛行機、船舶での一貫した国際物流の取扱いが可能になるのです。」
では、福井ではどのような活躍が期待されるのだろう。
「福栄倉庫は繊維の物流を主力にしていましたから、当然今も繊維は得意分野です。また、様々な製品の輸出入のお手伝いをさせていただきますが、その多くは、金沢港、大阪をはじめ全国の港に運ぶことになります。福井県の敦賀港はまだまだ未知の潜在能力が潜んでいるのに、福井の生産物でも他県に運ぶことがあります。時には、福井からトラックで大阪に運び、どう見ても福井から発送したほうが近いのに、太平洋側から遠回りしてアジアに海上輸送するとか。敦賀港での便が増えれば私たちも、もっとサービスできるし、エネルギー消費量も減ります。そういうことの見直しや、効率をアップさせることも私たちの仕事だと考えています。」
熱心に仕事について説明してくれる池田さんは、福井での生活にも心から満足しているようだ。
「ひとり暮らしで自炊も長かったせいか、福井ってあらためて食事が美味いと思いましたね。ですから、もっぱら家での食事が中心です。外で食べるのは、おそばくらいですかね。」
では、いったん県外に住み、Uターンすることになった池田さんが感じる福井県とは。
「そうですね。若い人たちは遊び場が足りないとか言うのかも知れませんが、私は不都合を感じていません。大野出身で、趣味はスキーですし(笑)。遊ぶなら、都会とか、そういう場所に出向けばいいのではないでしょうか。それよりも、地元にいるからこそわかる穴場を探すとか、それを県外の友人に自慢することの方が楽しいですね。都会では、常に情報が先行していますから、逆につまらないと思います。冬の味覚、夏の自然、そんな福井で仕事をするって、贅沢だと思いますよ。県外にいらっしゃる方は、IターンやUターンをしてでも、福井ならではの仕事ややりがい、楽しみを見つけてほしいですね。」
「自分がやるべき仕事や、美味しい食べ物、心地よい環境での人間関係など、人生とは、すべてが満足できてこそのものだと思う。」
ストレスを感じさせない生活、池田さんの爽やかな笑顔の向こうに、福井の新たな魅力が垣間見えた気がした。