小浜市の閑静な住宅街にある落ち着きのあるたたずまいの旧家から出迎えてくれた柘植夫妻。お二方の笑顔からは、人の良さが感じられる。玄関を入るとやはり木の良い雰囲気が全身を包み込む。住み始めてから、ご主人自身で手直しをされたのだと言う。素人であるにもかかわらず、その出来映えは立派なものだ。ますます、この地に移り住むことになった経緯が早く聞きたくなった。
もとは愛知県一色町の出身。福井県には、若い時から観光でよく来ていたのだと言う。「小さい子供を連れて海水浴だとか花火大会だとか、釣りにもよく来ていました。そうこうしているうちに、こちら(北陸)への憧れが強くなってきまして。」と、童心に帰ったような話しぶりだ。
その思いを実現するため、定住の地を求めあちこち出かけた。「最初は沖縄だったのですよ。一週間くらいいましたね。その後、北陸の方に目を向けることになりました。」
富山、石川、福井の県庁へ連絡して定住について色々なアドバイスをもらったようだ。
中でも、福井県の窓口であったふるさと帰住センターの担当の方がとても親切で、小浜市まで来て市内を丁寧に案内してくれたことが決め手になったという。「極端な話し、風景や町並みは、全国の候補地どこも良い所。大事なことは、やはり人の良さですかね。」と、当初の思いを語ってくれた。
地域への溶け込みも心配であったようだが、近くには中学校があって、毎朝通学する学生さんと挨拶を交わしたり、ボランティア活動で近所の方々と交流を深めるなど、地元の人間よりも今は小浜市民らしくなっている。
では、不便さはないのだろうか。そんな心配はいりませんというように奥様が微笑む。「北陸特有の雪もここでは少ないし、降ったら降ったで楽しいですよ。」とのこと。
そして、移住を成功させる秘訣については、「どこに住むにしても積極的に自分から行動しなければ、そこに居場所ありません。また、すべてのことに謙虚さを見せれば、地域の方々にかわいがってもらえます。地元の行事や祭り事には積極的に参加することが一日でも早く地元に馴染むことが出来る秘訣でしょうか。」と。
その言葉通りに、終始笑顔の絶えないお二方を見ていると、ずっと以前から顔見知りのような不思議な感覚を覚えました。