福井県の北東部、大野市と勝山市の市境に広がる六呂師(ろくろし)高原。
この地域の自然資源を生かし、森と空、川、そして人との触れ合いの場を提供する団体が『奥越前まんまるサイト』です。農業体験や天体観測、森林浴、トレッキングなどのグリーンツーリズム事業を展開、県内外から毎年約1000人の参加者を受け入れています。
代表の坂本均さんは大分県生まれ。関東地方で福祉関連の仕事に就いた後、1996年に福井県へ転入してきたJターン組の一人です。大野市の魅力を改めて実感したのは、それから数年後。体調を崩し、六呂師近辺の森を散策していたときのことでした。
「地面に広がる葉っぱや土の色を見て、どうしてこの多彩さに気付かなかったんだろう、って。自然に関わる仕事をしようなんて考えてもみなかったのに、その日を境に『自分が得た発見や驚きを伝えていきたい』という気持ちがふくらんできたんです」
坂本さんいわく、大野市の自然の特徴は、四季の移り変わりがはっきりしていること。まさに、自然体験にぴったりの地域です。しかし、坂本さんにとってのグリーンツーリズムは、あくまで人間が主役。自然を媒介に人と人の対話を図ることを大きな目的としています。
「大野市の魅力もまた、そこに暮らす人の中に存在していると思います。今までいくつかの地方で暮らしてきましたが、このまちは人間関係がぎすぎすしてなくて緩やかなんですよね。都会に比べて、まち自体は整備されていないかもしれません。でも、整備されすぎてないことが、逆に魅力なんだと思いますよ」
静かだったのが良かった――以前、六呂師での自然体験に訪れた大阪の子どもがこんな感想を寄せてくれた、と坂本さんは話してくださいました。「原っぱに寝そべって、何もせず、空を眺める。この“何もしないこと”のぜいたくさを提供することが『奥越前まんまるサイト』の役目なのかな、と思ってます」