大野市和泉地区、緑豊かな山々と湖に囲まれた自然にあふれるこの地域は、岐阜県との県境にある。時折ダンプカーも行き来する国道沿いにあるログハウスに住む小島さんを訪ねました。外見は喫茶店なのかとも思う洒落た家で、実際に間違えるドライバーもいるのだとか。
小島さんは東京都出身で大学では木工を専攻、卒業後は自動車の色をデザインするペイント会社へ就職しました。何にでものめり込むタイプの小島さんは、今後のペンキの世界はどうなるのかと考え、新たに進む道を探すため退職しました。その後、家具の販売の仕事をして、あらためて家具を通して木の温かさを知ることになりました。売る立場から作る立場への転身にはそう時間はかかりませんでした。
「石川県の山中で“ろくろ”の施設があることを知り、2年間研修生として過ごしました。」物静かな雰囲気の中にも時折見せる屈託のない笑顔が、小島さんの人の良さを感じさせます。木を使った創作活動をしたいと、先輩のアドバイスを受けながら、自然環境に恵まれたこの和泉地区に住むことにしました。山中の職人さんのように木を使った小物を大量に作る道もあるけど、自らのアイデアで作品を作り上げたいと言う小島さん。今はまだ、色々なことにチャレンジすることに忙しく、近くの小学校でのアルバイトも頑張っているのだとのこと。
このログハウスの部屋の一角には、何種もの顔料や大量の木、様々な資料などがあり、ショーケースの中には、鮮やかに磨かれた木のオブジェや小物、味わい深いお箸なども綺麗に並べられている。使用する木は材木店や工務店で調達しているとのことで、「時には山や川へ拾いに行ったりもしているのです。」と笑って答えてくれた。
そんな活動の傍ら、雪のないシーズンには木工所を使ってクラフト教室を開き、ツアー客などに体験をしてもらっているのだそうだ。多くの子供達が木で出来たキーホルダーやパズル作りをしているとのこと。
木工所の中に入ると、多くの木工機械や機具、様々な形の木っ端が入った箱が所々に置いてある。木の良い匂いの中で、小島さんが一台の機械にスイッチを入れると、ろくろが回転し、四角い木片からあっという間に出来上がったのはドングリ。体験者には、こうやって先ず見せてから実際に作ってもらうらしい。今後は、体験者を増やすことと内容の充実を図りたいと小島さん。
この地区や福井については、「今の自分には良いところ。東京は便利だけど、好きな事をやっているわけではないから。ここでは色んな事を試させてもらえる。」人にも環境にも恵まれたこの地に、ご両親も一度来てすっかり気に入り、とても羨ましがられたとのこと。「段々と地域に馴染んで、ここなら良いかと思うようになった。地域の祭りなどにも進んで参加し、すっかり福井人に染まったようです。」と話す小島さん。そして、「家に帰ると箱が置いてあって、中には沢山の野菜が入っていたりもするのです。」と。 最後に印象的だったのは、県外からの移住で悩んでいる方に対しての小島さんからのアドバイス。「とりあえず来なさい。迷わないで来なさい。来れば受け入れてくれますよ。」