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平成18年度第4回所蔵品によるテーマ展 ―現代の表現者たち―

 

県立美術館では、平成18年度第4回所蔵品によるテーマ展―現代の表現者たち―を開催しますので、お知らせします。

 

 

1 会 期            平成18年10月6日(金)〜11月5日(日)

 

2 開館時間       午前9時〜午後5時(入場は午後4時30分まで)

                          金曜日は午後8時まで開館(入場は7時30分まで)

 

3 休館日          10月16日(月)、30日(月)

 

4 趣 旨

 戦後の混乱から立ち直った1950年代後半から60年代初頭の日本美術界は、従来の概念を打ち破る斬新な表現を欲していました。そして、その時代の要求に応えるかのように、日本画の前衛集団『パンリアル』で実験的な作品を発表した三上誠、国際舞台でも高い評価を持ち、約70年にも及ぶ精力的な制作活動を繰り広げた小野忠弘、強烈な白と黒のコントラストで写真界に鮮烈な印象を与えた森山大道などの、現代美術の旗手たちが登場してきます。彼らの作品を見ると、戦後の混沌とした社会の中で模索を重ねながら「私たちの求める表現はこれだ」と提示された、現代の表現者たちの多様な答えを見つけることができるでしょう。

 

5 主な作品

絹谷幸二「愛する者たちへ」 1993(平成5)年

三上誠「機構の生理・標的1」 1970(昭和45)年

小野忠弘「イレズミ・ダンス」 2001(平成13)年

森山大道「にっぽん劇場1」「にっぽん劇場2」 1965〜75年(昭和40〜50)年

ほか

 

6 観覧料          一般・大学生100円(30名以上の団体は2割引)

                          高校生以下、70歳以上および障害者手帳等をお持ちの方は無料

 

7 内容

 1945年、終戦を境に表現の自由を手にした芸術家たちは、「はたして自分たちが求めている芸術は何なのか」という問題に、戸惑いながらも正面から対峙することになります。

 敗戦による価値観の逆転、混乱、そして急激な経済変動でめまぐるしく転換していく変革期にあっては、もはや過去の価値観は求められず、興味を引かず、飽き足らないのでした。戦前から活躍していた人々は、既に確立した自己のスタイルを基盤に、表現を深めていきました。しかし自分が拠って立つ場所がまだ確立されていなかった若い芸術家たちは、混乱する時代の流れに超然とした態度をとり続けるわけにはいかなかったのです。

 今回取り上げる、われらが「現代の表現者たち」は後者の芸術家たちとなります。戦争による空白を埋め、海外の動向を消化し、追いつくための10年間の後、模索を続けていた彼らや、戦後の民主教育を受けた第一世代の機が熟してきます。1948年、因襲的な要素を多分に持つ日本画界でも前衛集団『パンリアル』が結成され、三上誠らが実験的な作品を発表します。1950年代後半から60年代初頭は、彼らのような新しい世代によって、既成の概念を打ち破る新しい表現が矢継ぎ早に発表されていきました。1956年に国際連合加盟で国際社会に復帰した日本は、経済成長も著しく、「もはや戦後ではない」と同年の経済白書は高らかに宣言します。小野忠弘が米『ライフ』誌上で「現代美術分野の世界の7人」に選ばれるなど、国際舞台で認められる尖鋭な芸術家も現れ、日本の美術界と世界の美術界が切り離せないようになったのもこの頃です。

 福井県では戦後、『北荘画会』(1922年創立)を母体として『北美文化協会』が結成され、福井県における現代美術をリードしました。ここにおいても、戦中は途絶えていた海外美術の紹介が、戦後は堰を切ったように流れ込み、新しい創造を目指す芸術家たちがそれを旺盛な知識欲で学ぶ段階を経ます。そしてその成果が表出したのが60年代だったといえましょう。八田豊橿尾正次小島信明長谷光城松宮喜代勝らは、絵ばかりではなく、立体による前衛表現を提示します。

 写真界においては60年代後半に、主流の表現である報道写真や社会的なテーマを扱ったリアリズム写真に対して反旗が翻されました。森山大道は、粗い粒子、ブレ、ボケ、ハイコントラストによる表現で、写真の持つ印画の美しさや、記録性、意味性からかけ離れた作品を発表して写真界に衝撃を与えます。その独特なスタイルは若手写真家のみならずアマチュアにも波及し、今なお追従者を数多く生み出しています。

 団体やグループ展、個展などで美術界を賑わせているのは、現代日本を代表する洋画家であり、フレスコ画技法の国内第一人者でもある絹谷幸二、思想や概念を絵画に融合させる宇佐美圭司、都市に生きる人々の日常的な風景や孤独を描き、異色の画家といわれる日展の米谷清和などの、幅広い芸術家の活動です。

 このようにあらゆる角度から思想的、芸術的な問いかけがなされて、日本美術界の現代の表現が生み出されています。今回展示するのは、すべて60年代以降から現在に至るまでの作品で、戦後の混沌とした社会の中で、現代の表現者たちが模索しながら「私たちの求める表現はこれだ」と出した答えを見つけることができるでしょう。

 

 

問い合わせ先

福井県立美術館

福井市文京3丁目16-1

TEL0776-25-0452/FAX0776-25-0459

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