平成19年度第2回所蔵品によるテーマ展「三上誠」
福井県立美術館では、平成19年度第2回所蔵品によるテ−マ展を開催いたします。
岡倉天心コーナーでは、天心ゆかりの作家の作品や資料を展示しています。
1 展覧会名 平成19年度第2回所蔵品によるテ−マ展「三上誠」
2 会 期 平成19年6月21日(木)から7月22日(日)まで
3 会 場 福井県立美術館 常設展示室
4 開館時間 午前9時から午後5時まで(入場は閉館30分前まで)
5 休 館 日 7月9日(月)
6 観 覧 料 一般・大学生 100円 (団体30名以上は2割引)
高校生以下・70歳以上・障害者手帳等をお持ちの方は無料
7 主な作品
「三上誠」
三上誠 『蓮と少女』 1947(昭和22)年
三上誠 『F市曼荼羅』 1950(昭和25)年
三上誠 『灸点万華鏡1』 1966(昭和41)年 ほか
「岡倉天心コーナー」
下村観山 『静清』 1923〜1924(大正12〜13)年 ほか
8 内容
今回のテーマ展「三上誠」では、三上誠の活動と作品を紹介いたします。
大正8年大阪に生まれ福井に育った三上誠は、川端画学校、京都市立絵画専門学校日本画科に学びます。昭和19年には同校の助手となりますが、2年後には辞職。日本画壇の封建性打破と日本画の革新を標榜し、昭和23年3月、星野真吾、山崎隆、青山政吉、八木一夫、鈴木治、田中竜二、不動茂弥らとともに前衛グループ「パンリアル」を結成します。同グループは翌年、大野俶嵩らを加えて「パンリアル美術協会」へと発展し、5月には三上を中心とした下村良之介等11名の出品によって「第1回パンリアル美術協会展」が開催されます。以降、三上は同会を舞台に精力的に作品を発表するようになり、昭和25年の第5回展では、敗戦し廃虚と化した福井の街をシュールレアリスムやキュビズムといった手法を取り入れて描いた代表作「F市曼荼羅」を発表します。翌26年には同協会の会長となるなど順調に活動していた三上ですが、この時期肺結核を発病し、その後4回もの手術を受けるという悲運にみまわれます。そしてこの経験を機に、日本画を革新するというパンリアルの指針に従って様々な異素材を使用していた実験的な当時の作風は、「灸点輪廻4」や「経絡万華鏡」にみられるような、自身の身体の治療法であった鍼灸図にヒントを得た作風へと大きく変化。病によって得たその表現は、皮肉にも、三上の新しい世界観を生み出すことになるのです。昭和45年には、一転して、モノクロームの世界を追求。「機構の生理」等を発表して注目を集めますが、肺結核の悪化によって、昭和47年、帰らぬ人となります。三上はその夭逝もあって、生前あまり一般の理解を受けることはありませんでしたが、現在では現代日本画を代表する作家として高く評価されています。そしてパンリアルもまた、あらゆる既成の画壇と訣別し新しい自由な世界を目指したグループとして、また、当時の日本画のイメージを覆す作品を次々と生み出したという点において、現在では高い評価を得ているのです。
問い合わせ先
福井県立美術館
福井市文京3丁目16-1
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