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平成19年度第3回所蔵品によるテーマ展「東西の神と仏」

 

県立美術館では、平成19年度第3回所蔵品によるテ−マ展を開催いたします。

岡倉天心コーナーでは、天心ゆかりの作家の作品や資料を展示しています。

 

1 展覧会名      平成19年度第3回所蔵品によるテ−マ展「東西の神と仏」

 

2 会  期        平成19年8月31日(金)から9月30日(日)まで

 

3 会  場        福井県立美術館

 

4 開館時間      午前9時から午後5時まで(入場は閉館30分前まで)

 

5 休 館 日      9月10日(月)

 

6 観 覧 料      一般・大学生  100円 (団体30名以上は2割引)

                          高校生以下・70歳以上・障害者手帳等をお持ちの方は無料

 

7 主な作品

作者不詳 「二十五菩薩来迎図」 14C(鎌倉時代)

ウィリアム・ブレイク 「ヨブ記」 1826

堅山南風 「追おく」 1977(昭和52年) ほか

 

8 内  容

宗教と美術

 宗教は人間の最も原始的な発現であり、人間生活における精神的・行動的拠りどころとして、原始社会から現代にいたるまで我々に大きな影響を与えています。また美術も信仰とともに歩み、宗教のための美術が様々な分野で展開していきました。美術作品が信仰する人々に深い感銘を与えることで、宗教性を高め、また宗教が広く人々に受け入れられるのに大きな役割を果たしました。

 

 宗教美術はその宗教の内容によって表現は様々ですが、中心的位置を占めるのは神や仏、そして神的人格といった超人間的存在を絵画や彫刻によって形象化することであり、それ自体が礼拝の対象となるものです。今回のテーマ展では主にキリスト教と仏教における作品を通して、これら神や仏の表現について見ていくものです。

 

象徴表現から造形化へ

 人間を超えた聖なるもの−いわゆる神や仏−の姿を具体的に表すことは、すでに古代エジプトやギリシャ、ローマなどにおいて行われていましたが、初期キリスト教や仏教においては偶像崇拝に否定的な思想が根本にあったため、キリストや釈迦の姿を具体的に造形化することは行われていませんでした。その代わりに象徴的な形(キリスト・・・十字架・仔羊など、釈迦・・・菩提樹・宝輪など)で表すことが行われました。

 

 しかし信者からの要望や、字を読めない者に対する視覚的布教の必要性、そして教義上の変化などから徐々に“人間の姿をした神や仏”の造形化が行われるようになって来ました。ただしただの人ではない神や仏をどのように表現するかが課題となり、それぞれに独自の表現が見られるようになりました。例えば頭の周囲をとりまく光−頭光−の表現、これはキリスト教、仏教に共通の表現で、一般の人々と聖なるものとを区別する大きな特徴です。

 

 またその容貌や服装なども差別化が行われ、壮年以降のキリスト像では長髪に長い髭をたくわえ、白く長い下衣(テュニカ)の上に外衣(パリウム)をまといサンダルを履くのが一般的となりました。また持物では初期には杖、巻物、十字架、中世以降は書物、幟等があります。他方仏教においては、一神教であるキリスト教とは異なり、多種多様の仏が存在するため、様々な表現がおこなわれました。そのなかで仏陀が生まれながらにそなえる身体的特徴として「三十二相八十種好」の相好(そうごう)があり、何れも仏を観相したり、仏像制作の際の基準とされました。

 

近代以降の表現

 これらは何れも聖なる人の崇高さ、神々しさをいかに視覚化して表すかということの成果でした。そしてその視覚化における芸術の背後には、熱烈な信仰心がありました。つまりそれらはあくまで信仰に基づく礼拝のための造形であり、決して鑑賞のための造形ではありませんでした。とくに宗教が人間生活を強く支配していた近代以前においては、これら神や仏を表現することは宗教と信仰によって生み出されといっても過言ではありません。

 

 しかし近代以降になると宗教や信仰に直接的な関わりを持たない形で、宗教的内容が作品の主題として取り上げられることも一方では行われてきました。例えば岡倉天心を中心とした明治期の初期院展の日本画において、宗教的主題は歴史画や山水図とともに重要視されていました。しかしそれらは礼拝像としての性格を有するものではなく、風景や人物と同じく単なる対象として神や仏が造形化されただけのことなのです。それは信仰を中心とした考え方から、現実世界における人間中心への考え方へと我々の関心の対象が変化したことを示すものといえます。

 

 今後宗教がどのように我々と係わり、それに伴う神や仏をどのように表現するかという問題は、それぞれの宗教の本質的な側面、また時代の考え方によりに変化しているといえます。それによって新たな作品が今後も増えていくのかも知れません。

 

※プロテスタントにおいては偶像崇拝をさけるため聖画、聖像はつくりません。  よってプロテスタントの国、オランダなどでは静物画が発達し、カトリックの国、フランス、イタリア、スペインでは宗教画が発達しました。

 

 

問い合わせ先

福井県立美術館

福井市文京3丁目16-1

TEL0776-25-0452/FAX0776-25-0459

 

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