所蔵品によるテーマ展 「新収蔵品紹介part1」 「西洋版画(ピカソ、シャガール、ミロ等)」
2008年4月4日(金)〜27日(日)
出品作品リスト
【新収蔵品紹介part1】 |
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No. |
作家名 |
作品名 |
制作年 |
サイズ‘(cm) |
技法など |
1 |
松崎鐘美 |
ヤング ギャル コンテスト |
1989年(平成元年)頃 |
162.0×194.0 |
油彩、カンバス |
2 |
松崎鐘美 |
港のBAR |
1980年代後半(昭和60〜平成元年) |
130.3×162.1 |
油彩、カンバス |
3 |
松崎鐘美 |
無題 |
制作年不詳 |
112.2×145.5 |
油彩、カンバス |
4 |
棟方志功 |
工楽頌両妃散華の柵 |
1951年(昭和26年) |
67.5×49.0 |
木版画、紙 |
5 |
作者不詳 |
松梅文真形釜 |
江戸時代(17世紀) |
口径12.4×胴径28.0×高19.0 |
鉄・鋳造 |
6 |
木村盛和 |
油滴木ノ葉釉茶 |
1975〜1980年(昭和50年代前半) |
口径13.7×底5.5×高6.5 |
陶器 |
7 |
山本大慈 |
孔雀 |
1964(昭和39)年 |
185.0×233.0 |
岩絵の具、金箔、紙 |
8 |
馬越祐一 |
しゃこ貝のある風景 |
1950(昭和25)年〜1963(昭和38)年 |
72.5×90.5 |
油彩、カンバス |
9 |
上出穂美 |
名士 |
1950年代 |
162.1×97.0 |
油彩、カンバス |
10 |
上出穂美 |
ゴーシュ(作品) |
1956(昭和31)年頃 |
162.1×97.0 |
油彩、カンバス |
11 |
上出穂美 |
無題 |
1950年代 |
162.1×97.0 |
油彩、カンバス |
12 |
初代・歌川広重 |
東海道五十三次(蔦吉版)54枚 |
江戸時代・弘化4〜嘉永年間(1847〜1854) |
(各)16.6×22.2 |
横中版錦絵 |
13 |
岡倉覚右衛門 |
岡倉覚右衛門書状 3通 |
江戸時代(19世紀) |
(1)15.4×53.0 (2)15.4×64.2 (3)14.5×24.2 |
紙本墨書 |
[作家・作品紹介]
1 松崎鐘美「ヤング ギャル コンテスト」
2 松崎鐘美「港のBAR」
3 松崎鐘美「無題」
松崎鐘美(まつざき・かねみ)は1949(昭和24)年に福井市で画家松崎真一の三男として生まれました。父真一は独立美術協会会員で、福井の近代洋画史の中で最も重要な画家の一人です。鐘美も独立展に計20回出品しています。その他多数の個展や、グループ展に出品して、その画家としての地位を確実なものにしてきましたが、惜しくも2005(平成17)年に56歳で亡くなりました。今回収集された作品は、彼の没後2年目に、彼の画歴を惜しんで有志一同によって福井市美術館で開催された「松崎鐘美遺作展」に出品されたものです。
抽象から具象、線や色面を多用した表現からモノトーン表現等、多様に変遷した彼の画業の中でも、大胆な構図、カラフルな色面、繊細な線描写を用いて、モチーフをユニークにまたシニカルな視点で描いたこれらの作品は、鐘美の最も充実した時期の作品であり、彼の独自性が感じられる作品といえます。
4 棟方志功「工楽頌両妃散華の柵」
棟方志功(むなかた・しこう)は1945(昭和20)年から1951(昭和26)年までの6年間富山県の福光に疎開します。志功は富山の風光や人々を愛し、富山の人々もまた志功を温かく受け入れたようです。しかし志功の心の交流は単に富山にとどまらず福井にも広がったようです。疎開中の1948(昭和23)年6月28日に福井大震災が起こり、福井市を中心に大きな被害が出ますが、志功はたった5日後の7月3日には「福井大震災救援棟方志功小品板画展」を開催しています。福井県内では志功との交流から入手されたと思われる版画作品が時々見受けられますが、本作品もこのような交流のなかから福井に来た作品のひとつで、福光時代の最後の年に作った作品です。
5 作者不詳「松梅文真形釜」
口の立ち上がりやや高く、肩を張りぎみにした真形の釜で、鐶付を鬼面とし、なめらかな挽肌の胴部には梅と松とされる二つの樹木が浅く箆押しで表されています。
本作の持つ特徴は越前芦屋釜の特徴といわれます。越前芦屋釜は芦屋釜の一分派で、武生の五分市や敦賀の鋳物師にて制作された茶湯釜を指します。室町時代に筑前芦屋釜の影響を受けて製作されたと伝えますが、その実態は謎に包まれています。本作はおおむね越前芦屋の特徴を備えつつも、一方で異なる表現も見られることから、芦屋釜と越前芦屋釜の系譜を考える上で意味の有る作品といえます。
6 木村盛和「油滴木ノ葉釉茶」
木村盛和(きむら・もりかず)は長い間京都で活躍し、50代半ばで福井に移住築窯した作家です。木村盛和は中国宋時代に焼かれた天目茶碗の技術の研究を長年行い、そこに彼独自の表現を探り続けてきています。作陶を始めた昭和12年から、商工省所管国立陶磁器試験所の職員として鉄釉(天目釉)の調査を行う際にも、記録文献もないまま各地の鉄を含む天然の岩石や鉱物を自ら採取・調査し、日本における鉄釉の可能性を探り、焼き方の工夫を重ねてきました。
本作品はこのような長年の研究のなかで生み出された作品で、作者が得意とする鉄釉の作品の一つとして特徴がよくあらわれた作品といえます。
7 山本大慈「孔雀」
山本大慈(やまもと・だいじ/1908〜1987)は福井県三浜町に生まれ、関西を中心に活躍した院展作家です。福井県では唯一人の日本美術院所属の作家で、昭和8年、25歳のとき再興院展で初入選を果たした後、院展のみに出展をし、花鳥画を得意とした画家です。
本作は、2羽の羽根をたたんだ雄の孔雀が上下に互い違いで配置され、背景の金箔地が彼らを華麗に際立たせている図様です。彼は50代半ばから後半にかけての一時期、孔雀を扱った作品を多く描いておりますが、本作もそのうちの一点で、1964(昭和39)年の再興第49回院展に出品した作品です。
8 馬越祐一「しゃこ貝のある風景」
馬越祐一(まごし・ゆういち/1902〜1968)は、愛媛県の伯方島に生まれ、広島の教員養成所を終了したあと、福井県武生中学の英語教員として赴任以来、生涯を武生の地で送った画家です。30才頃から絵を描き始めました。団体展には所属せず、個展等の発表も数多くはありません。しかし麻生三郎から高く評価され、誘われて共に展覧会を開催しています。また他に寺田政明や井上長三郎等との深い交流は生涯続きました。県立美術館でも福井県洋画史の中で重要な位置づけを持つ画家として、1983年には個展を開催しています。
本作は、1963年の東京銀座、昭和画廊で個展に出品した作品で、砂浜の上に置かれたしゃこ貝や壺等のモチーフ、点描風の筆致や静謐で夢想的な画風が最盛期の彼の作品の特徴をよく表しています。
9 上出穂美「名士」
10 上出穂美「ゴーシュ(作品)」
11 上出穂美「無題」
上出穂美(かみで・ほよし/1917〜1993)は福井県に生まれ、教員をしながら制作を続けてきた洋画家です。1940年の第10回独立展に初入選以後、1982年の第50回展まで、第40回の不出品(滞仏中による)を除き全回独立展に出品・入選している画家です。
今回収集された作品は3点とも30代の作品ですが、上出はこの時期、プール・ブー賞を受賞(1955年第23回独立展)したり、独立賞を受賞するなど(1956年第24回独立美術展)、重要な賞を連続して取っており、まさに画家の最盛期の作品といえます。
【西洋版画(ピカソ、シャガール、ミロ等)】 |
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No. |
作家名 |
作品名 |
制作年 |
キャプションNo. |
1 |
パブロ・ピカソ |
三人の裸婦 |
1968 |
P−294 |
2 |
パブロ・ピカソ |
画家とモデル |
1963 |
P−293 |
3 |
パブロ・ピカソ |
ランプの下の静物 |
1962 |
P−692 |
4 |
マルク・シャガール |
サン・ポールのあけぼの |
1968 |
P−734 |
5 |
ホアン・ミロ |
二人の友達 |
1969 |
P−54 |
6 |
ホアン・ミロ |
岸壁の軌跡No,1 |
1967 |
P−310 |
7 |
ホアン・ミロ |
岸壁の軌跡No,4 |
1968 |
P−367 |
8 |
ポール・ゴーギャン |
かぐわしき大地 |
1894 |
P−300 |
9 |
ポール・ゴーギャン |
水辺の女たち |
1894 |
P−301 |
10 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 悪魔 |
1927 |
P−1 |
11 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 辱めを受けるキリスト |
1927 |
P−2 |
12 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 キリスト |
1927 |
P−3 |
13 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 悪の華 |
1927 |
P−4 |
14 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 横向きの裸婦 |
1927 |
P−5 |
15 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 肌黒きわが美女よ、君、眠りて |
1927 |
P−6 |
16 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 悪魔2 |
1927 |
P−7 |
17 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 悪魔3 |
1927 |
P−8 |
18 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 骸骨 |
1927 |
P−9 |
19 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 辻々に売春の日がともる |
1927 |
P−10 |
20 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 生者並に誇り高く、われとわが貴なる姿を誇りつつ |
1927 |
P−11 |
21 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 悪魔 |
1927 |
P−12 |
22 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 <放蕩>と<死>は |
1927 |
P−13 |
23 |
ジョルジュ・ルオー |
悪の華 眉目美わしく、姿あでやかな女なり |
1927 |
P−14 |
[作家紹介]
パブロ・ピカソ (1881-1973)
スペインの画家。フランスに渡り「青の時代」「バラ色の時代」と次々にスタイルを変えながら、絵画・版画・彫刻・陶器と多岐に渡る作品を残しました。1907年に代表作「アヴィニヨンの娘たち」を発表し、翌年よりブラックと共に「キュビズム」を創始。1937年には、第二次大戦に対する反戦の意味を込めて「ゲルニカ」を制作します。1953年以降はテーマを「画家とモデル」に絞ることが多く、本展出品作の「画家とモデル」、「三人の裸婦」もその時代につくられた作品です。
マルク・シャガール (1887-1985)
ロシアの画家。1907年ペテルブルクに赴き、舞台芸術家バクストの指導をうけました。10年パリに出て、アトリエ「ラ・リュッシュ」に集うザッキンやモディリアーニらと親交を結びました。14年一時帰国したロシアで革命に遭遇し、新政府の依頼で19年故郷に美術学校を設立するものの、同僚との対立から辞職、ベルリンを経て23年パリに戻りました。37年フランス国籍を取得するも、第二次世界対戦中アメリカへ亡命(41-48年)。10年代にパリでキュビズムの影響をうけ、シュルレアリスムの画家たちからも一員とみなされていましたが、ロシア生まれのユダヤ人という出自を意識、旧約聖書やサーカスの人物、恋人たちを題材とし、それらを独特の構図と華やかな色彩で描いて独自の画風を確立しました。また版画、ステンド・グラスの制作、文筆など幅広い活動を行いました。
ホアン・ミロ (1893-1983)
スペインの画家。1919年パリに渡り、1922年の作品「農場」で画風の転換をはかります。1924年グループ「シュールレアリスム」の一員となり、オートマチスムの影響による記号化した星、女、鳥などを描き詩的絵画を生み出しました。版画、彫刻、陶器作品も多く制作しています。
ポール・ゴーギャン (1848-1903)
フランスの画家。パリに生まれエリート両替商員として生活しますが、1883年画家を志し離職します。初期は印象派に影響を受けた作品を制作します。1888年アルルにおいてゴッホと二ヶ月に渡り共同生活しますが、ゴッホの耳切り事件をきっかけにパリに戻ります。1891年ゴーギャンは文化的な生活を捨てタヒチに渡り、未開文化に影響された作品を多く残しました。本展出品作はこの頃制作された作品です。
ジョルジオ・ルオー (1871-1958)
フランスの画家。当初ステンドグラスの職人でしたが、画家に転向します。1903年頃から道化師、娼婦、貧者などを荒々しいタッチで描きはじめ、フォービズムの作家として認められます。初期の作品にみられる絶望感は晩年には消え、主題をキリストにもとめるようになり精神性の深さを感じさせる作品を生み出しました。
【岡倉天心コーナー】 |
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1 |
横山大観 |
春秋図 |
1909(明治42年) |
J−251 |
2 |
下村観山 |
奇襲 |
19C.(明治時代) |
J−226 |
【岡島コレクション】 |
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2008,4/4〜6/27 |
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NO |
作品名 |
作者 |
制作年 |
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うしずにところもの |
ごとうみつたか |
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1 |
牛図二所物 |
後藤光孝 |
江戸時代(18c) |
刀5 |
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えだぼたんずめぬき |
きくおかみつとし |
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2 |
山椒図目貫 |
無銘 美濃 |
江戸時代(17c) |
目95 |
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なみにつばめずふちがしら |
おおもりてるひで |
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3 |
蝸牛図目貫 |
無銘 正阿弥 |
江戸時代(19c) |
目93 |
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さんしょずめぬき |
むめい みの |
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4 |
這龍図目貫 |
無銘 喜多川宗典 |
江戸時代(18c) |
目82 |
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かぎゅうずめぬき |
むめい しょうあみ |
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5 |
枝牡丹図目貫 |
菊岡光利 |
江戸時代(19c) |
目67 |
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はいりゅうずめぬき |
むめい きたがわむねのり |
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6 |
波に燕図縁頭 |
大森英秀 |
江戸時代(18c) |
縁14 |
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かいづくしずつば |
たかはしきない |
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7 |
貝尽図鐔 |
高橋記内 |
江戸時代(19c) |
鐔9 |
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しょうきずこづか |
ふるかわつねたか |
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8 |
鐘馗図小柄 |
古川常珍 |
江戸時代(18c) |
小35 |
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むしゃずこづか |
むめい かがぞうがん |
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9 |
武者図小柄 |
無銘 加賀象嵌 |
江戸時代(18c) |
小52 |
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りゅうじょうかんのんずきせるづつ |
とうすいよずい |
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10 |
龍上観音図煙管筒 |
東水誉随 |
明治時代(19c) |
煙筒9 |
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じゅうろくらかん・ほうごずなたまめぎせる |
たかもとひでむね |
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11 |
十六羅漢・法語図刀豆煙管 |
高本秀宗 |
明治時代(19c) |
煙管2 |
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ばしこうずかがみぶたがたねつけ |
せりざわりゅうみん |
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12 |
馬師皇図鏡蓋型根付 |
芹沢立民 |
明治時代(19c) |
鏡1 |
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みなもとよりまさぬえたいじずまえかなぐ |
もりとし |
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13 |
源頼政鵺退治図前金具 |
盛寿 |
明治時代(19c) |
前2 |
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たかずまえかなぐ |
まさふみ |
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14 |
鷹図前金具 |
正文 |
明治時代(19c) |
前5 |
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ひょうじんぶつずおじめ |
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15 |
瓢人物図緒締 |
不詳 |
明治時代(19c) |
緒27 |
*本リストと展示の順序は異なります。
*予告なく展示内容を変更することがあります。
問い合わせ先
福井県立美術館
福井市文京3丁目16-1
TEL:0776-25-0452・0451/FAX:0776-25-0459