福井県立美術館
平成21年度第1回 所蔵品によるテ−マ展 「新収蔵品展」
2009年4月3日(金)〜4月26日(日)
福井県立美術館では平成20年度の購入作品はありませんでしたが、19点の寄贈と48点の寄託がありました。
本展では、20年度新収蔵品の中から寄贈品15点、寄託品16点を紹介します。
なお寄託品のうちの30点につきましては、5月1日から開催するジャクエツ・コレクション展に出品します。
【寄 贈】
●日本画
岡倉秋水「悲母観音図」 1945(昭和20)年 142.0×56.5cm 絹本著色 軸装
岡倉秋水は福井県出身の日本画家で岡倉天心の甥に当たります。また狩野芳崖の弟子でもあり、生涯に亘って熱心に師芳崖の作品の研究をしました。今回寄贈を受けた作品も全て秋水が芳崖の作品を模写したものです。秋水オリジナルの作品ではありませんが、岡倉秋水研究の資料として意味を持つ作品といえます。
作者不詳「酒伝童子図屏風(しゅてんどうじずびょうぶ)」 江戸時代 (各)165.2×346.0cm 紙本著色 六曲一双屏風
近世以降、広く一般に親しまれた源頼光が家来の四天王らとともに、鬼神の酒伝童子を退治する説話を描いた作品です。現状は屏風となっていますが元来は絵巻であった作品で、絵のみを取り出して押絵貼にしています。酒伝童子絵は古く南北朝時代からの作例が知られますが、本作品は大永二年(1522)に狩野元信によって描かれたサントリー美術館本(全3巻)の系統を引く作品で、大よその図様構成はサントリー本に拠っています。
三上誠「蓮と少女(下絵)」 1946年 180.8×180.8cm 鉛筆・岩絵の具にて淡彩・紙
三上誠は福井県出身の日本画家で、戦後の日本画の革新者の中で最も重要な画家です。「蓮と少女」の本画は、すでに当館の所蔵となっている初期の重要な作品で、三上にとってパンリアルで別次 元の表現に移る前の、最後の具象の絵といえます。当時三上が思いを寄せていた久原菊子という女性をモデルに描いたものです。
正方形の画面に蓮が林のように乱立する中、少女の全身像が描かれている下絵は、本画に比べるとかなりの大きさがあります。本画は少女の上半身を中心に下絵の大きさから4分の1程度に切断したもので、他の部分は捨てることができても、ここだけは残さざるを得なかった心情が推察されます。
●洋 画
鈴木千久馬「春の福井城址」 1937年 23.8×32.9cm 油彩・カンバス、額装
鈴木千久馬は福井県出身で初めての日本芸術院会員です。初期にはフォーヴィスムの影響を受け黒色を中心とした重厚な作品を描いていた彼は、長い試行錯誤の末、晩年には白色を中心とした独特の様式を確立します。
戦前の作品である本作は、画家自身が同じ福井県出身の友人に贈ったもので、小型の画面に比較的自由に福井城址を描いています。
新道繁「松」 1927年 38.0×45.5cm 油彩・カンバス、額装
新道繁「ストーブのある室内」 1940年 61.0×72.3cm 油彩・カンバス、額装
新道繁「卓上」 1949年 90.9×90.9cm 油彩・カンバス、額装
新道繁「貯水池の松」 1974年 99.5×79.5cm 油彩・カンバス、額装
新道繁「松」 1979年 72.7×90.9cm 油彩・カンバス、額装
新道繁は、1960年(53歳)から「松」をモチーフにし、亡くなるまで20年以上「松」を描き続けました。1961年に日本芸術院賞を受賞したのも、前年に発表した「松」の連作によります。そのためしばしば「松の画家」と呼ばれました。
今回の寄贈作品は、全て1990年に当館で開催された「新道繁回顧」展に出品された作品です。また昨年度に生地三国町で開催された「松の画家 新道繁」展にも出品されたもので、それぞれが各時代の特徴をよく表す作品となっています。
豊田三郎「慈雨」 2006年 116.7×90.9cm 油彩・カンバス、額装
豊田三郎「瀞(とろ)」 1992年 72.7×60.6cm 油彩・カンバス、額装
豊田三郎は福井県在住の現在100歳の洋画家です。100歳になった今でも旺盛な制作力で、ふるさと美山の山河を現場で描き続けています。つい先頃、県民に元気を与え続けたということで、福井県が設置した「ふるさと貢献賞」の第1号受賞者になりました。
五十嵐彰雄「Drawing
by drawing」 1975年 80.5×495.0cm 鉛筆・紙
五十嵐彰雄「Drawing
by drawing」 1975年 90.8×436.5cm 鉛筆・紙
五十嵐彰雄は福井に在住しながら制作を続けている作家です。彼は、70年代半ばに深刻な制作の行き詰まりを経験し、その結果、広大な紙の上をただひたすら鉛筆で塗りつぶすだけという殆ど宗教的修行のような制作活動に没頭しました。このようないわば自己漂白ともいえる行為の結果残った最小限の素材と時間の集積に意識を向けるようになり、これ以降、徹底して表現を抑え、僅かに残った表現の徴に全てを込め、ドローイングと油彩画をフィールドにモノクロームの平面作品の制作を続けています。
本作は、まさに彼の転換期を示す、紙の上を鉛筆で塗りつぶした作品で、その重厚な質感は、図らずも作品としての圧倒的な存在感を持っています。
三田村和男「気どったラッパ」 2008年 56.8×47.6cm 不透明水彩・紙
三田村和男「マジシャン」 2007年 56.8×47.6cm 不透明水彩・紙
三田村和男は紙の上に不透明水彩とマスキングテープで作品を作っている作家です。マチスの切り紙の影響を受け、原色に近い明るい色を使い、デザイン性の強い作品を作ります。2003年の福井県立歴史博物館リニューアルオープンの際にはエントランスに幅11mに及ぶ壁画を制作しました。
【寄 託】
●日本画
作者不詳「五百羅漢」 朝鮮・高麗時代 54.9×34.7cm 絹本墨画淡彩 軸装
岡倉秋水「梅潜寿老人之図(うめくぐりじゅろうじんのず)」 1947(昭和22)年 115.0×54.0cm 絹本著色 軸装
岡倉秋水「鐘馗図(しょうきず)」 1946(昭和21)年 110.0×39.0p 紙本墨画淡彩 軸装
岡倉秋水「海望山水図」 不詳 116.0×36.0p 絹本著色 軸装
岡倉秋水「秋冬山水図模本(原本雪舟)」 不詳 38.5×26.5p、39.0×26.0p 紙本墨画淡彩 軸装(対幅)
岡倉秋水「山水図」 不詳 29.8×88.3p 紙本著色 軸装
岡倉秋水「円窓山水図」 不詳 37.0×38.5p 紙本著色 未装
岡倉秋水「円窓海辺図」 不詳 41.0×42.0p 紙本著色 未装
岡倉秋水「山水図(秋)」 不詳 54.0×62.5p 紙本著色 未装
岡倉秋水「山水図」 不詳 59.5×63.0p 紙本著色 未装
岡倉秋水「習作 「松」」 不詳 57.5×41.5p 紙本墨画 未装
岡倉秋水「習作 「猿」」 不詳 52.5×43.2p 紙本墨画 未装
岡倉秋水「習作 「山水」」 不詳 54.0×46.7p 紙本墨画 未装
秋 英「雛祭り図」 不詳 102.5×45.5cm 絹本著色 未装
作者不詳「収穫図」 不詳 76.0×49.0cm 紙本著色 未装
岡倉秋水「円窓山水図」 不詳 46.5×46.0p 絹本著色 軸装
【岡島コレクション】
No |
作品名 |
制作年 |
no |
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ドウゾウカンノンボサツリュウゾウ |
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1 |
銅造観音菩薩立像 |
中国・北斉時代(565年) |
仏1 |
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ドウゾウボサツサンゾンリュウゾウ |
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2 |
銅造菩薩三尊立像 |
中国・隋時代(6c) |
仏7 |
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ドウゾウシシ |
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3 |
銅造獅子 |
中国・隋時代(6c) |
仏33 |
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ドウゾウシチレンブツ |
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4 |
銅造七連仏 |
中国・隋時代(6c) |
仏30 |
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ドウゾウカンノンボサツリュウゾウ |
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5 |
銅造観音菩薩立像 |
中国・唐時代(7c) |
仏26 |
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ドウゾウボサツハンカゾウ |
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6 |
銅造菩薩半跏像 |
中国・唐時代(8c) |
仏8 |
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ドウゾウボサツサンゾンゾウ |
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7 |
銅造菩薩三尊像 |
中国・唐時代(7〜10c) |
仏39 |
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ドウゾウボサツサンゾンリュウゾウ |
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8 |
銅造菩薩三尊立像 |
中国・唐時代(7〜10c) |
仏89 |
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ドウゾウニョライザゾウ |
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9 |
銅造如来坐像 |
中国・唐時代(7〜10c) |
仏40 |
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ドウゾウビクリュウゾウ |
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10 |
銅造比丘立像 |
中国・唐時代(7〜10c) |
仏60 |
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ドウゾウリキシリュウゾウ |
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11 |
銅造力士立像 |
中国・唐時代(7〜10c) |
仏62 |
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ドウゾウビャクエカンノンリュウゾウ |
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12 |
銅造白衣観音立像 |
中国・宋時代(10〜13c) |
仏69 |
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サンスイマキエテバコ |
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13 |
山水蒔絵手箱 |
日本・江戸時代(19c) |
漆9 |
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レンシシズメヌキ(ムメイゴトウコウジョウ) |
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14 |
連獅子図目貫(無銘後藤光乗) |
日本・桃山時代(16c) |
目6 |
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ソウカクズメヌキ(ホリエオキナリ) |
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15 |
双鶴図目貫(堀江興成) |
日本・江戸時代(18c) |
目77 |
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エダボタンズメヌキ |
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16 |
枝牡丹図目貫 |
日本・江戸時代(17c) |
目104 |
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オウカコマズフチガシラ(ムメイソノベヨシツグ) |
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17 |
桜花駒図縁頭(無銘園部芳継) |
日本・江戸時代(19c) |
縁35 |
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ヒエンズコヅカ(ハマノハルミツ) |
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18 |
飛燕図小柄(浜野春光) |
日本・江戸時代(19c) |
小30 |
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ムシャズコヅカ(ムメイカガゾウガン) |
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19 |
武者図小柄(無銘加賀象嵌) |
日本・江戸時代(18c) |
小52 |
*本リストと展示の順序は異なります。
*予告なく展示内容を変更することがあります。
問い合わせ先
福井県立美術館
福井市文京3丁目16-1
TEL:0776-25-0452・0451/FAX:0776-25-0459