冨田溪仙《紙漉き》1928(昭和3)年 東京国立近代美術館蔵
冨田溪仙(1879 〜 1936)は京都画壇出身で、再興日本美術院にも所属した異色の画家として知られています。
早くから越前和紙の特性に着目し、東西の日本画壇に和紙の魅力を広めることに一石を投じました。
溪仙が越前の地を訪れた経験をもとに描いた《紙漉き》を中心に、画家と紙漉き職人との交流の軌跡を辿る本展では、
近代日本画の視点から「描かれた越前の紙漉き」を読み解いていきます。
古き良き伝統の中で紡がれる職人の技、そして豊かな自然に育まれた越前を独自の芸術観で捉え、
理想郷として作品へと昇華させた溪仙の描く味わい深い世界をご堪能ください。