手塚雄二展

みどころ

「世紀の屏風絵」について
 東京藝術大学の教授であり、日本美術院の同人・理事を務める手塚雄二が描く「日月四季花鳥」の屏風。舞い散る桜の花びらはやがて金色に輝く小さき虫となり、右から左へと虫を追いかけていくといつの間にか季節は夏から秋、そして冬へと移り変わっていきます。そして屏風の右隻には金砂子を蒔いた太陽が、左隻には三日月が宙に浮かびます。
 本展を最後に、次の100年間は人の目に触れることのないと思われる「世紀の屏風絵」。謎のベールに包まれた本屏風をぜひ会場で目撃してください。
            現代版「日月図屏風」
 太陽と月は古くから連綿と描かれ、そこには人々の様々な想いが託されてきました。日本における日月は、高松塚古墳壁画から仏画、日常の調度品や武具まで、絵画、工芸を問わず様々に表されてきました。特に右隻に太陽を、左隻に月を配し、一双形式として描く「日月図 屏風」は、時代・流派を横断して広く展開し、現代まで脈々と受け継がれています。
 画家はこの普遍的なテーマに対して、見上げた枝葉の隙間から日月が覗く斬新かつ大胆なイメージを紡ぎ出しました。写実と装飾が融合する革新的な表現と鮮やかな色彩のグラデーションが魅力の本屏風は、「日月」という日本美術の伝統に寄り添いながらも、現代的な感性をもって描かれた新たな試みといえます。        越前和紙
 本屏風に使用されている和紙は、越前の岩野平三郎製紙所が特別に漉いて製造したものです。画家は同製紙所の看板商品である「雲肌麻紙」ではなく、楮(こうぞ)100%の紙を指定しました。楮を用いた和紙は、素材の繊維の長さ(1~2㎝程度)により、強靭かつしなやかな紙質が特徴で、手塚氏によれば従来の画紙よりも絵具がしっかりと定着するといった描き味を備えているそうです。        福井県立美術館 屏風名品撰
 本展は「屏風」という画面形式を取り上げ、大画面に展開するダイナミックな表現をご覧いただきます。幕府の御用を務めた狩野派の屏風から、岡倉覚三(天心)の下で日本画の革新に身を投じた横山大観、下村観山、菱田春草ら日本美術院作家の屏風まで、煌びやかで豪華絢爛な屏風の魅力をご紹介します。
                        

関連資料

略歴

        手塚雄二 略年表
1953年
神奈川県鎌倉市に友禅染付絵師の家に生まれる。
1976年
東京藝術大学に入学。
1979年
第34回春の院展に初出品、初入選。
1982年
東京藝術大学大学院修了。日本画研究室非常勤助手となる。
1989年
第74回再興院展で初の日本美術院賞(大観賞)を受賞。以後、三回連続受賞。
1992年
日本美術院同人に推挙される。
1995年
東京藝術大学助教授に就任。
2004年
東京藝術大学教授に就任。
2013年
福井県立美術館特別館長に就任。